本ルートはOKさんが以前から気になっていたが、アプローチがわからずチャレ
ンジでき なかったという。岳人6月号に特集記事があり、アプローチの不安が解消され
たので今回の計画となった。岳人にはピッチグレード5.8とあるので、まあ、何とかな
るだろうと思って誘いに乗った。最近、クライミングをやっていないのが気になるのであるが…。
横浜から東名を使って西伊豆に向かう。夜中の1:00過ぎに着き神社手前の駐車場で乾杯。 ささやかな宴会の後車中仮眠とした。駐車場には数台の車があったが、山人は我々のみ。 他はもちろん釣人である。梅雨入りして初めての日曜ということで天気が 心配であったが、朝起きるとよく晴れていて今日一日は十分もちそうである。 駐車場から烏帽子山の基部(浅間神社鳥居)までは歩いて3分ほどである。岳人 6月号にあったとおり、表参道の急な階段を登り、途中にある建物の10mほど手前から 左の藪 に入る。ここまで鳥居から10分程度。微かな踏後を頼りに藪をトラバースする とすぐに 何本かのアンテナが現れる。アンテナの手前で下りのトレースに進む。 藪のためすぐに トレースは無くなり不安になるが、 そのまま我慢して進むとトレースらしきものが現れる。 右にちょっと登るとコルである。ここまで、階段の分岐から5分程度。 コルからは 目的の岩壁が間近に見えて安心する。ここから草の急斜面を降りるが、傾斜が 急になって確保なしでの下降は無理と思われる辺りから(大きな木あり)左にトラバ ースする。トラロープがある。すぐに草のまったく無い3級程度の岩場となり、慎重 にクライ ムダウンするとゴロタ浜に出た。コルからここまで10分程度。そこからはち ょっとの 平坦歩きで、取付きの大きなフレークの前に出る。人の気配は無い。この日こ の壁を登ったのは我々だけであった。 波が岩に砕けるドーンという音を聞きながら登攀を始めた。ルートについては 岳人6月 号を参照ということで、詳しくは記述しない。リングボルトの類はまったく無く、 ラン ニングのプロテクションからビレイのアンカーまで自分達で作らなくてはならない。 ハーケンはあまり期待できないと感じた。岳人には「岩が脆い」とあるが、確 かにそのとおりで、大きい浮石が多く神経を使う。大胆なムーブなどはありえない。 数パーティーが連なって登ることは絶対に避けるべきである。また、藪こぎも 高度感の ある急傾斜なので気が抜けない。そういうわけで結構時間がかかる。 それでも、眼下の 釣り人は次第に小さくなっていった。 最後のピッチは頂上に抜けず、石垣を登って神社の前に出てしまった。 ブッシュが邪魔をしてカンテ沿いに行けなかったのであるが、 頂上直下のフェースに出る他のルートがあったもしれない(たぶんあれだ!)。 これは残念なことで、(もしあれば)次回の課題としたい。 神社前には表参道から来たという、よく喋るオバサン3人組がいた。そこから 階段を10段ほど上ると頂上である。西伊豆の海岸線、山の緑と海の青、さらに青空 のコント ラストがすばらしい。わざわざ裏からでなく、表から階段を登っても(20分程 度)十分 に価値のある眺めである。6時間の登攀中、ザックを下ろせるところはほとん ど無く、 飲まず食わず。神社前でゆっくり水分と食料を補給し、浅間神社にお参りをし て駐車場 に向かった。 |