赤岳主稜

2007年1月28日


核心である上部岩壁の取付にて


28日 
5:50 美濃戸口 〜 6:40 美濃戸山荘 6:50 〜 8:45 行者小屋 9:10 〜 10:00 主稜取付分岐 〜 10:35 主稜取付 〜 15:20 赤岳南峰 15:30 〜 16:10 行者小屋 16:30 〜 18:10 美濃戸口

 横浜を21:30ごろ出発し、美濃戸口に着いたのは1:00過ぎ。 駐車場には20cmほどの雪が積っていた。 車は10台ほどあったがテントはなかった。 車の横にテントを張ってすぐに寝た。

 5:00に起きると天気は良さそうだ。 ヘッドライトを付けて歩き始めると2台の車が追い抜いていった。 「乗っけて〜」と心の中で叫び黙々と歩く。 美濃戸の駐車場は沢山の車でほぼ埋っていた。 土日の天気予報がまあまあということで、八ヶ岳には大勢の人が入っているのは当然であろう。 ただ、日曜の朝ということで、行者小屋までの道では 一人を追い抜き、 一人とすれ違っただけだった。 行者小屋に近づくにつれて雪が多くなったがトレースがあるので問題ないし、 雪が多いのでアイゼンの必要もない。 小屋に は下山準備の10人ほどの人がいた。テントは15張りほど。 見上げると20人ほどの行列が 真っ白な文三郎道を登っていた。 主稜にも数パーティーが取付いている。 まあ、我々が渋滞に巻き込まれることはないだろう。 小屋からの道は完全な舗装道路になっていた。 今日の行動時間は長くなりそうなので有難い。 中岳への分岐の標識はほぼ雪に埋っていた。 11:00に取付けなければ引き返すことを考えていたが何とか間に合った。 取付きへの分岐でギア類を着けるが風もないので辛くない。

 トレースに従って赤岳沢右沢をトラバースして取付きに行くと、 チェーン付きのハンガーボルトがあるビレイポイントが見 当たらない。 雪に埋っているようだ。一本のハーケンを支点にしてGTトップでスタート。 難しいといわれるチョックストーン越えは確かに怖かった。 その上は雪が豊富につ いた雪壁、 コルの後のトラバースも雪がベッタリついていて難しくなっていた。 その先 のビレイポイントでピッチを切る。

 2ピッチ目はHKリード。垂壁を左から回り込めば大したことはない。 雪面から中間の岩場を越えると核心の上部岩壁が迫る。 トレースは岩壁右端に向かうものしかなかった。 私は正面のフェイス(古いスリングあり)に興味があったのでHKに様子を見てもらったが、 難しそうというので右端から登ることにした。 GTリードで行くが、出だしがちょっと難しく、後は楽だと記憶していたのに、 核心はそ の上のチムニーで、心臓バクバクだった。 全体に雪が多く、岩には硬い雪がついていて ホールドを探すのに苦労する。 ピッケルのブレードで削っても確信の持てるホールドが得られない。 この時点で14:00。 頂上はまだ遠いが核心部を越えたことで先は見えた。

 誰もいない頂上に着いたのは15:20になっていた。 ずっと良い眺めであったが、頂上に着いたときには雲が出ていて眺めは良くない。 もっとも、頂上に着いた喜びを味わっている余裕などなく、行者小屋に急いで降りた。 行者小屋には一張りのテントが残っていた。 ここで5時間ぶりに水分と食料を補給してすぐに出発。 予定よりも登攀に時間がかかってしまったが、 美濃戸まではライトを付けずにすんだので良しとしよう。 ここからはライトを付けて歩いても安心である。 美濃戸口への道でも3台の車が追い抜いて行った。 「乗っけて〜」と心の中で叫び、ライトの明かりを頼りに黙々と歩く。


感想
 赤岳主稜はGTは去年4月以来の2回目、HKは初めてである。 GTの初体験ではまったく余裕 がなく、難しく怖かったという記憶しかなかった。 だから、今シーズンは是非リードでトライしたいと思っていた。 HKさんにつき合ってもらい、その目的は達せられたと思う。 もちろん、不満も残った。 ガイド本によると取付から頂上までのコースタイムは2時間半〜4時間となっている。 我々は4時間45分もかかっているので、今回もスピードという課題が残ったことになる。 こんなに時間がかかった理由の一つは、すべてのピッチをスタカットで登ったことだろう。 スピードアップのために何が必要なのか?  タクティクスも含めて熟慮しなければいけない。 主稜卒業までにはまだしばらくかかりそうである。


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