1月2日 晴れ 起床(2:00)−戸台駐車場発(3:30)−丹渓山荘跡(6:35)−七丈ノ滝沢出合(8:00) −五丈ノ滝F1(9:00)−五丈ノ滝F2(12:10)−駒津沢出合(12:40)−テント場(13:15) 戸台の駐車場には前夜早めに着くが、予想以上に車がありビックリする。 早く起きて星空の中、戸台の駐車場を出発。進んでいくが真っ暗で視界がないために疲れる。 堰堤をいくつか越えながら平坦な河原を右に左に進んで行くが雪は全くない。 丹渓山荘跡に着き、やっと明るくなってきて大休止。山荘跡とちゃんとしたトイレがある。 ここからは左側の本谷に入り、大きな岩を越えながら進んでいく。 雪はうっすらあるくらいで、前日のものと思われるトレースもある。 天気はおおむね晴れているが、雲は早く流れている。 進んで行くと大きな二股となり七丈ノ滝沢出合で休憩。 ここから右の本谷を行くが少し進んだところで一人が水に片足を入れてしまう。 この状態で稜線まで行くと凍傷になることも考えられるため、本日は駒津沢出合までとし乾燥させることに。 途中の岩を時々ヒヤヒヤしながら越して行くと五丈ノ滝F1。下から見ると結構立派な滝だ。 上の垂直部が途中もろそうなので、すぐ右側の凍っているところを検討するが、 上部の岩が悪そう(フィックスが見える)なので、さらに右の小さな谷のスラブ状の滝から巻く。 1ピッチ登った後、左側の尾根に上がりトラバースして短い懸垂2回で本谷に戻る。 さらに進み五丈ノ滝F2。滝の中心は氷結しておらず結構水が流れていて、下には立派な滝壺がある。 ここは滝の右側を慎重に登る。 すぐにものすごい迫力の駒津沢F1に出合う。すぐ奥の奥駒津沢は大きな幅の 広いスラブ状となっている。 駒津沢、奥駒津沢を右に見ながら良いテント場を探すためにさらに谷をつめる。正面上の稜線は鋸からのルートだ。 10分ほど登った右岸の岩壁下に小さいテントを張れるスペースを見つけ、二段に分かれてテントを張る。 明日は天気も問題なさそうで靴も乾いたことから、駒津沢を登り稜線に抜けることにする。 1月3日 快晴 起床(3:00)−テント場発(5:45)−駒津沢F1(6:30)−駒津沢F2(8:40) −二俣(10:15)−双児山(19:20)−北沢峠(20:50) 五時半過ぎに登攀具を付けて出発。 F1下でギヤ等の準備をしOK−MD、MN−KTの順に2組で登る。 ヘッ電を点けながらOKさんリードでスタート。すいすい登っていく。 ビレーをしていると時々氷の破片が降って来る。残り15でピッチを切る。 支点を残していくため次のピッチのためのスクリュー、カラビナを5、6本づ つ持っての体も重い不安いっぱいのスタート。 所々厳しい箇所が出てくるが、途中の足が安定したところで数回、ゼーゼー言いながら休む。 やっとの思いで着き、ギアのやりとり。デイジーを短く調整してハンギングビ レーにするが正直大変怖い。 2ピッチ目OKさんスタート。すぐに右上へと消えて行く。 しばらくすると上に着いたようだが、なかなか声が通らない。ここで下からか なり余裕そうなMNさん合流。 自分のスタート。このピッチは傾斜もそれほどなくボコボコした氷をつかんで 足で乗って楽しいが、 上に着く頃には完全に息が上がっている。 少し行くとなだらかな駒津沢F2。OKさんはスイスイと登っていき、ロープ 一杯で右上奥で切る。 自分の番だが、今回はスクリューを回収しながらとなるので結構疲れる。 広いガラガラした緩やかな斜面を行くと右上には広い斜面が見え、左にかなり立派な滝が出合う。 これが左俣の滝か?それにしては大き過ぎる。ここで後続の組と合流。 少し休んでからとのことでそのまま先に進む。 ここからいくつか小さな滝をロープなしで超えていく。 さらに詰めていくと雪崩跡が出てきて注意するように言われる。 雪の量も増え、雪質も急に変化し表面が厚いかけらのようになり、その表面を割りながら進む。 進むに従い傾斜はどんどんきつくなり、かなり急な斜面を灌木をつかみながら、バイルを使いながらの登りとなる。 遠く左上に稜線らしきものが見えてくるが、前には灌木と岩と雪の壁が立ちはだかる。 最後の急な斜面をいくとやっと尾根に合流出来、ようやく急な斜面を抜けることが出来た。 ここからは森林の斜面をみんなで交代しながらラッセルして行くが傾斜はやは り急で、とうとう暗くなりヘッ電を点けながらとなる。 かなり進んだ後、バテきった自分が先頭をいくOKさんからかなり遅れて行く と急に稜線が見える。 やっとの思いで少し風のある稜線に立つが、甲斐駒、駒津峰はまだかなり先に あり、地図を出し位置を確認。 さらにこの尾根をアップダウンしながら進んで行き、白い緩やかな斜面を左か ら歩いて行くとピークらしきものになり、右側を見ると看板がある。 看板には双児山。横にはうっすらトレースさえある。 みんなで集まって握手し、写真を撮って周りを見る。 真っ暗で風が少しあるが甲斐駒、鳳凰、北岳、仙丈がぐるりと見える。上空に は星がきらめき、甲斐駒右下は町の明かりが驚くほど眩い。 ここからは一般道となり、うっすらトレースの跡をのんびりゆっくり北沢峠へ下る。 北沢峠バス停に着き、封鎖されているトイレ前のスペースに幕営。 1月4日 快晴 起床(3:00)−北沢峠発(5:00)−丹渓山荘跡(6:10〜6:40)−戸台駐車場着(8:30) 3時過ぎに起きて食事、準備をして出発。丹渓山荘跡までは結構雪がある。丹 渓山荘跡にて明るくなるのをのんびり待ってから出発。 戸台川をだらだらと下っていく。途中何人かの入山者とすれ違い、後ろを振り 返ると昨日登ったであろう双児山への急な斜面が見える。 さらに行くと急に戸台の駐車場が出てきた。(MD) 年末年始に長期の休みが取れず、冬山に入れないことが多いが、今シー ズンはOKさんと日程が合い、 本当は3日間で行くところを勤務に合わせて2泊2,5日で調整して下さった。 アイスがあるルートということで申し分ない。はじめは戸台本谷をつめて甲斐 駒の頂上に出る計画であったが、 滝が簡単であるとのことで、駒津沢から稜線に抜け、頂上を踏むという計画に 決まった。 2泊分の荷物を背負っての滝の登攀である。フォローでも登れるだろうか。急 きょアイストレを行い、荷物の軽量化に最大限の工夫を凝らした。 結果、大滝のリードも問題なくクリア。KTさんとつるべで登り、真っ暗な頂 上に立てたときは、自分の力で登りきったという満足感で稜線の風が大変心地よかった。 計画・準備から、ルートファインディング・氷の氷結具合の評価・アイスのピ ッチの切り方・雪崩の判断・幕営場所の決定など色々な要素があり、 総合力・判断力が必要であった。OKさんがリーダーであるという精神的な安 心感はあったが、いつかは本当に自分の力でルートを攻略できるようになりたいと思う。(MN) 戸台のアイスは2回目で駒津沢は初めてのクライミングでした。滝を 登るだけならグレードもさほど難しい滝ではないが稜線に抜けるとなると、 いろいろな要素がありなかなか面白いルートだとおもいます。 白山書房のアイスクライミングの本とは少し様子が違っているみたいで左俣の滝(右の写真)は かなり立派でグレード5級位はありそうでした。 僕らは時間が無いので右俣に入り最後の二俣で左俣から雪崩のデブリが出ていて右俣を選択し、 これが結果として双児山に上がる一番急な尾根を登ることとなり稜線に抜ける のが夜になってしまいました。 その場その場の状況判断をしながらのクライミングは、アルパインの楽しさの 一つだと思っています。 そのためにもトレーニングをして面白いクライミングが出来るようにしていき たいと思っています、皆さんお疲れ様でした。 (OK) |