西ゼンから平標山

2009年8月15日


シャワーを浴びてこの滝を越えると第1スラブが広がる

 前週に角楢沢に行ったFKさんから沢登りのお誘いがあり、日帰りで行ける明るい沢ということで 31年前に行ったことのある西ゼンを挙げると、是非と言うことで最近会に入ったYAさんと3人で行ってきました。 西ゼンは第1,2スラブを越え地糖と草原の平標山に詰めあがる明るい沢で、ようやく迎えた夏日を 楽しむのに最適でした。


8月15日 天気:はれ
ゲート5:30〜6:00毛渡沢出合吊橋〜7:00仙ノ倉谷出合〜8:40チムニー滝下〜10:25第2スラブ中央 〜11:30二股〜12:30登山道〜13:00平標山〜15:30仙ノ倉出合〜17:00ゲート

 今年は梅雨がなかなか明けず、不順な天気が続きましたが、台風が抜けてようやく夏らしい天気が予想されました。

 横浜を21時半に出発。 前回は電車で土樽からの入山で1泊でしたが、今回は前夜発日帰り、0時半に林道ゲートに着き、 見上げれば天の川が見えるほどの快晴。 涼しくてゆっくり寝られました。
 朝も青空が広がり肌寒いほどでしたが、準備をして出発。 ゲートから30分で毛渡沢出合の吊橋。 渡った先で間違えて沢沿いに進み引き返したりしましたが、 60分で立派な道標のある仙ノ倉谷出合。 ここで沢装備に換えFKさんにトップをお願いして西ゼンに向かいました。

 ゴーロをしばらく進み、イイ沢を越えると滑滝が始まります。 水流沿いにナメを登ると左から東ゼンが出合い、右の西ゼンに向います。 滑滝を越えると6mチムニー滝で、釜に飛び込み火照った体を冷やしました。
 滝を越えると第1スラブが広がります。 水流右側のスラブを適当にルートを選んでヒタヒタ登ります。 下を見ると結構な高度感、明るくて気持ちのいいところです。

 FKさんは新品のアクアステルスが快調のようでペタペタ登って行きます。
 第1スラブが終ると水流がまとまり滝になっています。水しぶきを浴びながら越えて行きます。 スラブで暖められた水が気持ち良いです。
 第2スラブ下の滝です。左から越え、次の滝は中段で思いきりシャワーを浴びながら右へトラバース。

 この辺りでロープをだしました。
 水流沿いに登ると青空の下、第2スラブが広がってきます。 水流が広く広がり、もう最高です。

 第2スラブは第1に比べ傾斜が増しますが、右側のスラブを快調に越えて行きます。 YAさんもフェルトソールの効きを確かめながら登ってます。 そのまま、FKさんトップで右側のスラブを上がり出口の滝に向って左上気味に登り第2スラブを越えました。
 第2スラブを越え、二つほど滝を越えると
 ナメの上に両側の笹が狭まり、源流の雰囲気が出てきます。 さすがに水が冷たくなってきます。

 そこから一登りで二股、右へ入るとすぐに藪がかぶさってきます。 水が涸れる辺りで沢が左に折れ、正面の藪に踏跡が。

 いよいよ藪漕ぎです。
 ここでもFKさんが踏跡を探しながらリードして行きます。  タイミング良く日が陰り、藪漕ぎの暑さを和らげます。

 30分もしないうちに藪が切れはじめ、ガレと背の低い藪になり ホッとしたのも束の間、YAさんがカメラを落としたことに気付きがっくり、 藪の中では仕方ないのであきらめてもらい、更に一登りで山稜の登山道に出ました。

           肩を落としつつ登るYAさん→

 登山道を平標に向います。池糖に白い雲が写りホッとする一時です。 こちら側は人がいませんでしたが、山頂に着くとたくさんのハイカーが休んでました。

 平標からは雲はかかっていましたが、笹穴沢の源頭から仙ノ倉、足拍子、日白山と長釣尾根、 と新潟側の展望が楽しめました。
 人ゴミの山頂から平標新道へ下り、西ゼンの詰めまでくると、ちょうど西ゼンから登ってくる人が。
先に登った人ですかと聞いてくるので山頂まで行ってきたところと答えると、カメラを落としませんでしたかと 聞いてくれました。 藪に入ったところに落ちていたそうで、丁重にお礼を言ってカメラと思い出を取り戻すことができました。

 途中登ってきた第2スラブが見られます。 登ったルートを確認します。

 YAさんも快調に降り17時、無事に車に帰り着きました。
 湯沢手前の岩の湯(400円)で汗を流し、盆帰りの大渋滞の中、一路横浜に向いました。(YY)


YYさんの感想

 平標は気持ちの良い山で笹穴沢や山スキーで何度か訪れていますが、初めて登ったのが31年前の西ゼンでした。 トンネルができ、近くなった代りに林道入り口は戸惑うほど変わりましたが、西ゼンは今回も変わらず 楽しませてくれました。改めて手頃で良い沢だと感じました。特に晴れた日は最高ですよ。


FKさんの感想

 今シーズン初の青空の下、それだけでわくわくしちゃいました。 事前にネットで見た西ゼンはちょっと怖いかなとも思いましたが、沢と沢靴の相性が完璧だったことでスラブも余裕で登れたし、 角楢沢で恐怖の限界レベルが上がっていたようで、高巻きや草付も何の不安もありませんでした。 ほとんどトップを歩かせてもらい、YYさんにルートの確認をしているとき、「サマになってきた」と言われ嬉しかったです。 実はヤブ漕ぎでルートを見失ったところもあったのですが、目を凝らし、小さな手がかりを拾い修正できたのでほっとしました。 西ゼンは明るくて楽しい、気持ちの良い沢でした。癒されました〜。

 今まで丹沢を中心に遡行を重ねてきました。 丹沢以外の所へ行くとたいていぼろぼろにされて帰ってきましたが、それでも毎回得るものがあり、いつの間にか身についていたんだなと思いました。 今までお付き合いいただいた方々に感謝申し上げますとともに、まだまだ未熟者ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。


YAさんの感想

 10時間行動というのを聞いてかなりビビッていました。 (実際は11時間30分になってしまい、すみません) 沢は初心者向きとの説明を聞いていたので大丈夫かなと 考えていましたが、やはり簡単ではなかったです。 こんなに長いスラブは初めてで、しかもかなり斜度がありました。 一度転んだらどこまで落ちることやら? 自分の足がどう滑るかイメージできなくて変に腰砕けになったり強気で行って滑ったり。 しかも滝の真っ只中に突っ込んでしまい、滝行までしてしまいました。

 おかげで少し開眼したようですが、カメラ紛失からリターンの 荒業ですべて使い切ってしまったようです。 サルベージしてくれた方、本当にありがとうございました。 こんな藪は初めてでものすごく辛かったです。FKさんが瞬く間に見えなくなるし 藪はつかんでもすべるし、これが延々続いたら確実に倒れていたことでしょう。 平標山頂はきれいでのんびりしたところでした。

 下山はやっぱりへたりました。YYさんが後ろからぶいぶい煽ってくるので なんとか歩くよりは少しだけ早く降りられたような?気がします。 遠方から眺める西ゼンは本当にロングルートに見えました。 よく登ったものだというのと、やっぱり沢は面白い!と実感しました。



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