槍ヶ岳から滝谷(ドーム北壁、ドーム中央稜)

2009年8月13日〜17日


滝谷ドーム中央稜終了点にて


8月13日(水)
  天気 晴れのち曇り
新穂高温泉(7:00)〜白出沢出合(8:25)〜槍平小屋(10:30)〜槍ケ岳山荘(15:00)

 2時間の睡眠で出発。途中、滝谷出合から遥か上に見えるドームが立派だ。 登りになるとペースは急激に落ちる。やっとの思いで槍ケ岳のテン場につくが、霧雨のような状態。


8月14日(木)
  天気 雨
停滞

 昨夜から強い風と雨が一日中続き、予定していた槍ヶ岳西稜の登攀は中止。 やることもなく濡れたテントの中で寝て過ごす。 夕方にちょっと風雨が弱まったので、ピークをピストンしたが展望はない。


8月15日(金)
  天気 晴れ
槍ケ岳テン場(5:00)〜南岳山荘(6:50)〜長谷川ピーク(8:05)〜北穂高岳(9:50)〜ドーム北壁左ルート

 やっと晴れた中、槍ケ岳を出発。大キレットを越えて北穂テン場へ。 幕を張り、準備をしてドーム北壁を目指す。 縦走路の右下にドーム北壁を見ながらコルへ下り、しっかりした踏み跡を行く。 トラバース途中に支点があり、10mほど懸垂下降しすぐに広く安定した取り付きに着き準備。

滝谷ドーム北壁
1ピッチ目
 荷物を軽くし、初のアブミでのリードをさせてもらう。 出だしは少しかぶっている。焦りながら上がって行くが、下からヌンチャクの 使い方等の指摘を受ける。 最後にちょっとフリーとなり、やっとの思いでピッチを切る。支点を作り、後続を迎える。

2ピッチ目
 ここもA1リード。途中、少しトラバースするところでヒヤヒヤしたり、クラ ックに決めたカムがガリガリと下にズレて 墜落するかとドキドキしたり。その上に続くハーケンも信用出来ない感じ。 狭いテラスを少し上がったところの方が安定しているようだったが、浮き石が あり、ロープも重いので切る。 後続のOKさんは一段上がったところで待機。ラストKTさんが合流。

3ピッチ目
 リード。すぐ前の岩を慎重に乗り越え、あとは簡単に上がって行くと開けたピークに着き、レリーフの支点がある。 二人も簡単に来て終了。 靴を履き替え少し先のルンゼを岩に沿って下ると始めに下ったコルにすぐに着く。 北穂のテン場に戻り、濡れた装備を乾かしながらのんびり。


8月16日(土)
  天気 晴れ
ドーム中央稜〜北穂テン場(12:30)〜涸沢岳(13:55)〜穂高岳山荘テン場(14:05)

 2時起床。四尾根への準備をするが、体調が悪く、ドーム中央稜に変更してもらう。 テン場を6時過ぎにスタート。縦走路を外れ、尾根沿いに下って行くと傾斜はだんだん強くなり、 岩のリッジでは少し悪いクライムダウンとなる。前には広い斜面がはるか下の 蒲田川まで続いていて、平衡感覚もマヒして頭がクラクラする。 さらに少し下ると結構ちゃんとした懸垂支点。OKさんが降りて行くが、25mギリギリ。 降りたバンドを右に歩き、緩い尾根を越したところが中央稜で広く安定した取り付きに一番手。 準備してじゃんけんでKTさん、OKさん、MDの順番でリード。しばらくするとガイドの2人、4人グループが来る。

滝谷ドーム中央稜
1ピッチ目
 KTさんトップ。チムニーの中は狭く苦しいようだ。 セカンドで行く。始めは前の凹角には入らず、左側のスタンス豊富なラインを行く。 上のチムニーはやはり狭く、ザックがつかえて苦しい。体をなるべくチムニーから出すようにして、はい上がる。 チョックストーンの上でビレーしているKTさんの横を通って奥の安定した広い場所で解除。 ラストのOKさんは余裕ですぐに上がって来る。

2ピッチ目
 トップOKさん。すぐに前の斜面をスルスル上がって行く。 セカンド。前の斜面を上がって行くとはっきりリッジ状になってくるがホールド、スタンスは豊富。 ロープの掛け替えにちょっと時間がかかるが、最後の少しのっぺりした斜面を 上がり解除。A0の必要は全くない。

3ピッチ目
 1級のピッチ。KTさんと一緒にゴロゴロした岩を上がり、次のピッチの支点 を探して古いハーケン2つの場所で切る。

4ピッチ目
 リード。前の岩の左側を簡単に上がる。ピナクル状となっていて裏側はつるんとしたチムニー。 別ルートを探したりしたが、やはりこのチムニーを奥に進んで、足を突っ張り ながらズリズリはい上がる。 ピナクル上にやっと着いて、先端にシュリンゲとカラビナをかけて一安心。 斜面側の岩に乗り移り、クラックの右側を強引に上がる。狭いテラスの少し奥でピッチを切る。

5ピッチ目
 KTさんトップ。ロープはどんどん出て行き、残り5くらいで解除の声。 すぐ左側の凹角をセカンドで行くが、凹角に沿って上がって行くだけで安定した終了点に着く。 ここからの眺めは素晴らしい。下にはうっすら雲が浮かび、標高の高いところ にいることを実感する。 ギアを整理して靴を替え、少し行くと昨日下ったルンゼに合流する。 時間もあるので穂高山荘まで行くことに。テン場は夕方には満杯。


8月17日(日)
  天気 晴れ
穂高岳山荘テン場(6:30)〜白出沢出合(9:00)〜新穂高温泉(10:30)

 のんびり5時半ごろに起床し、準備をして出発。 ガラガラな結構急な斜面を休みなく下り、立派な白出大滝を見ながら少し下った河原で休憩。 最後の樹林帯を行くと白出沢出合となり、あとはのんびり新穂高温泉まで。 (MD)


感想

 今回の山行は槍ケ岳へのアプローチからキレットを越えて滝谷の登攀、穂高山荘へと移動し、 白出沢の下降とこの山域を知る上で大変勉強となった。 滝谷の2つのルートは岩も固く、快適な登攀とだったが、もっと落ち着いてリード出来るように経験を積んでいきたい。
(MD)



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