甲斐駒ケ岳・赤石沢Aフランケ赤蜘蛛ルート

2010年9月18日〜20日


眼下には恐竜カンテがはるか下まで続き、ゾクゾクする高度感を味わう

9月19日(日) 晴れ
八合目(4:50)〜取り付き(5:45)〜1ピッチ目(6:30)〜大テラス(9:00) 〜赤蜘蛛大テラス(13:00)〜Aフランケの頭(13:45)〜八合目(15:10)

アプローチ
 八合目で3時30分に起床。外を見ると星が多くキレイだ。 朝食をとり出発準備し、まだ薄暗い5時前にヘッ電を点けて出発する。 急な樹林帯を降りて行くと先行するパーティに追い付き、先に行かせてもらうが道は暗くて不明瞭。 左側に降りていくが後続が来る様子はなく、本来の道ではないらしいが方向的 には合っているのでそのまま進む。 さらに薄い踏みあとを降りると左下に八丈沢が見えてくる。 チクチク痛い草の多い斜面を右にトラバースして行くとピンクのテープがあり本来の道に合流したようだ。 その後は斜面を残置のロープを使いながら降りたり右にトラバースしてさらに進む。 どんどん降りていくとちょっと迷うが、右の茂みに踏みあとがあり、さらにトラバース。 少し進んで左下に残置ロープで急な岩を降りる。周りは段々開けてきて右に進むと広い岩場となり、左下には赤石沢。 カンテを回り込むと明るく開けた取り付き。周りにはきれいな岩場が広がる。 先行パーティがいるのでのんびりしていると、お先にどうぞとのことで急いで準備をして、ありがたく先頭でスタートさせてもらう。

1ピッチ目
 珍しく1ピッチ目は自分がリード。 左側の横に走るクラックにカムを決めてアブミをかけて上がろうとするが、全く身体が上がらない。 後続もいるので、すぐにKTさんにお願いしてリード交代。。。 KTさんリード。一段上がるがやはり1ピン目が遠く、用意したチョンボ棒に アブミをかけて上がる。 そのまま上がっていくが、見ていると途中のピンがちょっと遠そう。上のテラ スに着いて解除の声。 自分のスタート。出だしはシュリンゲを垂らしておいてもらったので強引に上 がることが出来る。 その後のフェースはピンは遠めに感じたが問題なし。テラスへも上の岩に右手 を掛けながらアブミを回収し合流。

2ピッチ目
 リード。テラス左側から回り込んで簡単な岩を上がると大ジェードルが見える。 途中カムで支点をとりながら右側にきれいに走るクラックを使いながら上がるが下部は簡単。 すぐに支点があるので、ロープの流れを考えて短く切る。

3ピッチ目
 KTさんがリードで前の大ジェードルをA1で上がって行く。 上部の途中からフリーとなり、20Mくらい上がったところから残りロープの確認。 しばらくしてさらに上がって行く。上のフェースで再びA1となり、左側にト ラバースして上がると解除の声。 後続もすぐ下で待っているので、自分も急いでA1でどんどん上がる。上のフェースのA1も簡単ですぐに合流。

4ピッチ目
 V字ハング下からリード。前のフェースにはきれいにリングボルトがハング下 を巻いて打ってある。 まずはアブミで右側からまっすぐ上がり、ハング下を左にトラバース。 ここはピンの間隔も狭くて簡単だが、ロープの流れを考えて途中に支点は取らず、 ハング出口で初めて長めのヌンチャクで支点をとり、ひと安心。 しかし、出口を上がって先を見ると次のピンがない。。。 見回すと左のフェースにハンガーボルトがあり、”しまった、もっと左から上 がるのか!”と焦るが、 さらに見回すと右上の結構離れたフェースにリングボルトがポツンとある。 最上段に立ち込んで上がれば問題なく届いたがちょっとヒヤヒヤ。 緩いハングを越えると草木の多い開けたフェースとなり、さらに上にはこれか ら目指す垂壁が見える。 ここからはフリーで右上に見える太い木が生える大テラスを目指して簡単な岩 場を上がって行く。 テラスに上がり、手前にある太い木でセカンドをビレー。

5ピッチ目
 後続も続いているので、簡単に食べて飲んで休みなしですぐに行くことに。 KTさんに核心の垂壁をお願いしたので、このピッチは自分がリード。 テラスのすぐ上にある凹角を一段木登りしてから上がる。簡単な岩を上がって 行くとすぐ上には垂壁が立つ。 少し上がるとレッジに支点があり、切る。

6ピッチ目
 KTさんリードの核心ピッチ。 すぐ上は単純なアブミの掛け替えで上がって行き、途中の横に走るクラックか らはカムを掛け替えながら上がっているようだ。 その少し上で支点の間隔が開いてしまうと上から声がしたので、ユマールの準備をしておく。 ビレーをしているとだんだん壁に日が当ってきて少し暑い。ようやく上から解除の声。 自分のスタート。 すぐ始めは簡単なアブミの掛け替え。その上に来るとやはり次の支点となるカ ムは遥か上で届かない。 ユマールを出して片方のロープにセットし強引に上がるがかなり体力、腕力を消耗する。 その上も届かないところが2箇所ほど出てくるが、残置されたカムや回収した カムを使ってうまく上がることが出来る。 ようやくトップに合流するが、ユマールで疲れ切った感じ。

7ピッチ目
 自分がリード。右上に続くリングボルトを上がるがすぐのピンが結構遠く、こ こも最上段に立って抜ける。 カンテを越して反対側に出るがまだまだ傾斜はきつい。眼下には恐竜カンテが はるか下まで続き、ゾクゾクする高度感を味わう。 前の急なフェースを少し上がると枯れ木が1本生えていて、横を通りときにザ ックが引っ掛かりなかなか大変。 その後のピンも全体的に遠い感じ。さらに上がるとテラスが見えてくる。 テラス手前で右側にトラバースし、最後はフリーで頼りない灌木を頼りに上がる。 セカンドをビレーしていると眼下にはモヤが流れる。

8ピッチ目
 KTさんは前の岩場を左側から上がって行き、しばらくして解除の声。 左側から簡単な階段状の岩場を落石に注意しながら上がって行く。 ちょっとした岩が出てくるが簡単にアブミで上がり、すぐ上の樹林帯について 解除。

9ピッチ目
 リード。前の段々になった樹林帯の斜面を木登りしながら上がっていき、ちょっとした岩が出てきたので切る。 ルートが正しいか不安だが、踏まれた跡があるので多分大丈夫だろう。

10ピッチ目
 KTさんリードで前の岩を右からまっすぐ上がりしばらく待って解除の声。 上がっていくと終了点に着いたとのこと。少し上がってAフランケの頭の岩小屋に着き、固い握手をして終了。

 広い岩小屋でロープを解く。食べて飲んで休憩し、出発。 岩小屋を左側から上がるとすぐに立派な踏みあとがあり、右側に進むとピンク のテープがある。 下に道が続いているので降りて行くと今朝、迷って合流した地点っぽい。 登り返して良く見ると上に続く立派な道があり、しばらく上がると巨岩帯にな る。なるほど、本当に大きい。 さらにゼーゼー言いながら上がると八合目にやっと着く。

感想
 自分の目標としていたルート。KTさんを誘ってみたところ、すぐにOKの返事をもらった。 しっかりしたトレーニングや準備が出来ないで本番となったが、天候にも恵まれなんとか完登することが出来た。 しかし、スピードが遅い、フリーをきちんと登れていない、核心の垂壁部分もぐちゃぐちゃ。 次回チャンスがあればもっとトレーニングをして、スピーディーにすっきりキレイに登りたい。
(MD)


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