5月2日 天気:快晴 6:50新穂高温泉登山相談所=8:30白出沢=10:00天狗沢分=12:40テント場(2500m) 快晴の朝、新穂高温泉の登山者用無料駐車場を出発する。右股の林道を歩き、穂高平小屋、白出沢へと進む。 白出沢の雪の状態を見て行けそうだという判断で、白出沢から詰めることにする。 槍ヶ岳方面との分岐となるこの地点には、これから涸沢岳西尾根や槍ヶ岳に進むであろう数パーティーが小休止を取っていた。 背後に真っ白な笠が岳、正面に目指す穂高岳を見ながら、歩を進める。 天狗沢との分岐から、いよいよ傾斜が出てくる。 目指す飛騨尾根が正面に見え、「本当にあんなところを登れるのだろうか」と不安になるくらい、 ここから見える飛騨尾根の傾斜はかなりきつく感じられ、切り立った岩尾根に見える。 天狗沢を少し登ったところで、左のD尾根に取りつく。 急傾斜の樹林帯をしばらく登り、2300m付近に出ると、ちょうどいいテント場の第一候補地に出る。 時間は十分あったため、もう少し先の2470m付近にもテント場があるとネットの記録で見たので、そこを目指すことにする。 傾斜の強い樹林帯を100mほど登ると、間もなく視界の開けたまばらなダケカンバ帯に出る。 この先、傾斜はさらに強くなるようなので、今日は、この付近で幕営することに決める。 傾斜はそれほど緩くはないが、斜面の雪を切って幕営用の場所を確保し、テントを設営する。 テントの正面には笠が岳、背後にはこれから登る飛騨尾根や、穂高の稜線。 笠が岳に向かって右側には涸沢岳西尾根から涸沢岳が見え、実に贅沢な幕営地だ。 真っ白な雪山が、まるで別世界にあるようで、ずっと見ていても見飽きない。今日は、本当に良い天気だ。 早めの夕飯を食べ、まだ日も落ちないうちに明日に備えて就寝する。 5月3日 天気:はれ 4:45テント場=6:00飛騨尾根取り付き=10:00ジャンダルム=11:50奥穂高岳山頂=12:50 穂高岳山荘=15:25白出沢入口=17:00新穂高温泉無料駐車場 朝2:00起床。朝食をすませ、支度を整えて4:30過ぎに出発する。急な斜面をしばらく登り詰め、頃合いの良いところで右のルンゼに入る。 心配していたルンゼから飛騨尾根へのトラバースだったが、 今年は雪が多いせいか、ルンゼへ入るにも急な落ち込み具合がないため、ためらいがなく入ることができ、 ルンゼを登りつめて飛騨尾根に取り付くまでも、急な傾斜ではあったが、朝方の締まった雪でアイゼンも利き、問題はなかった。 ちょうど良い岩と岩の窪みに入り込んで飛騨尾根に取り付き、しばらくは、そのまま緩い傾斜の岩場を登っていった。 傾斜が強くなったところでロープを出した。 1ピッチ目は、易しい岩の登り。2ピッチ目は、出だしに岩峰を左に巻いてから岩峰と岩峰の間の凹角を直上。 3ピッチ目は、緩い傾斜の岩と雪稜を登って、小岩を乗り越し、雪庇のある雪稜へ。4ピッチ目はそこから3mくらい降りてから次のコブへと直上。 段々と疲れて来たところで、5ピッチ目は比較的立った岩峰の登り。 次の6ピッチ目で岩峰を越え、やっと頂上らしきコブが目の前に。 最終8ピッチ目が終わったところで、セカンドだったOさんとKがそのままジャンダルムの山頂まで登ったところ、 その先の下りルートが無く、一旦クライムダウンして右下の稜線上に出た。 このため、今回の目標到達地点だったジャンダルムの山頂だったが、 最終ピッチを登った同行者のMさんは、結局ジャンダルムの山頂に立たずに途中からトラバースする形になってしまった。 ここから奥穂高への縦走路も気が抜けなかった。 例年より稜線上に雪が残っていたようで、岳沢側に吸い込まれて行きそうな急な雪壁を足下にしながら、 細いナイフリッジを横向きに歩き、ロバの耳では、これもまた、 そのまま視界の先の谷に吸い込まれて行きそうな急な雪壁をクライムダウンして下部を回り込み、再び左上した。 その先の馬の背から奥穂高山頂へ続く縦走路もところどころ細いナイフリッジを慎重に歩き、なんとか奥穂の山頂に立つことができた。 今年は人が少ないのか、山頂に着く時には、私たちパーティーのみだった。 山頂の祠で、無事にここまでたどり着けたことを感謝し、そのお礼と、この先も安全に帰れることをお祈りする。 下山を開始して、5mほど降りたところで、 涸沢側へ山スキーとスノーボードで降りるという3名と出会い、しばらく降りるところを見学させてもらう。 はっきり言って、クライムダウンするのもためらうぐらいの急な傾斜を、彼らはためらうことなくスキーをはいて下り始めていった。 皆で、終始、「信じられない」、「すごい」を連発してしまった。 穂高岳山荘への急な下りも緊張するクライムダウンだった。 途中、凍っている個所があり、リーダーのOさんは、「ここ凍っているから気をつけて」と言うが、 (気をつけてって言ったって、どうすりゃいいの!?)と半べそをかきそうになりながら、慎重に下って行った。 なんとか無事に山荘まで辿り着いて(ちょっとしたアクシデントがあったが。。。)、やっと一息つくことができた。 穂高岳山荘のテラスは多くの人で賑わっていたが、やはり人数は例年より少なめに思えた。 しばらく休憩した後、長い白出沢を下り、大滝は右の尾根からまいて、下の沢に降りた。 そして、沢をしばらく下り、林道に沿って新穂高温泉へと下って行った。 今回は2日間とも天気が良く、贅沢な景色を堪能しながら、登りごたえのある尾根を満喫して充実した山行だった。 マイナーなルートながら、人気ルートに引けを取らない満足感が得られ、なお且つ人がほとんど来ない、穴場ルートだと思った。 (K記) リーダーOの感想 ジャンダルム飛騨尾根は以前から行きたいと考えていて穂高にいくといつも観察していました。 D尾根からどのように飛騨尾根に取り付くのかが分からないでいた。 実際に行ってみるとD尾根は上部でF尾根に吸収されF尾根は飛騨尾根の垂直の壁に吸収されている。 今回は雪の状態が良くD尾根からr沢にトラバースしr沢を詰め上部でC尾根に上がり、 C尾根は飛騨尾根に合流「合流というより飛騨尾根下部のようである」そのまま岩稜を登ると飛騨尾根のT3である。 今回のように雪の締まった時期はr沢からC尾根に上がるルートを選べるが「今回もr沢の上部で雪の揺れる部分があった。 早出でよかったとおもいらがら静かに登った」雪の状態次第ではD尾根からF尾根に登り飛騨尾根に合流することなる。 その場合核心はF尾根から飛騨尾根に合流するまでとなり、1グレードは上がりそうである。 飛騨尾根は新穂高から登り奥穂高岳に登ってこそのルートと思えます。「奥穂高巡礼」である。 穂高周辺のいろいろなルートを繋げて奥穂高をまわって下山する、そんな面白いことが可能なのも穂高の魅力と思えます。 KさんMさん有難うございました。 |