10/8_10 穂高・屏風岩東稜

 10月8~10日で、A木さん、K口、他1名で、屏風岩東稜に行ってきました。

 8日、朝4時に横浜を出発し、8時に沢渡の駐車場に着きましたが、駐車場は沢渡最終の茶嵐までどこも満車状態。何とか滑り込みで臨時駐車場に停めることができました。いくら紅葉の季節の三連休とは言え、沢渡で駐車スペースを探すのにこんなに苦労したのは初めてでした。

 1日目は、横尾まで。昼ぐらいに着いてテントを張り、それから屏風のT4取り付き手前まで偵察に行きました。

 9日、朝3時半起床。まだ暗い4時半過ぎに、ヘッデンを点けて横尾を出発しました。岩小屋跡から対岸へ渡渉しましたが、前日、A木さんが冷たい水に浸かりながら架けてくれた木の橋や濡れた岩の上が凍っていて滑り、私は案の定、右足を水没させました…。

 1ルンゼ押し出しを詰め、T4尾根の取り付きに着くと、雲稜に行くという先行パーティーが登攀を開始するところでした。

 本日、アブミを使うのが2回目という超初心者の私は、東稜のリードを全てA木さんにお任せするという不甲斐なさのため、せめてもと、T4尾根だけはリードさせてもらいました。T4は2ピッチ、Ⅳ級、Ⅴ級の岩登りの後、樹林帯を抜け、最後に1ピッチⅢ級の岩が出てきます。T4尾根終了後、コンテでT2テラスまで進みました。 

 8時半過ぎ、東稜登攀開始。1ピッチ目は、垂壁から小ハングを越えて、すぐ上のバンドまで。2ピン目のリングボルトのリングが無く、代わりに2mmの細引きが掛けてあり、「これに体重を預けるんですか?」と、しょっぱなから緊張でした。

 2ピッチ目、一番快適なピッチ。傾斜は緩いですが、高度感抜群の壁を少し左上気味に登りました。終了点はアブミに乗ってのハンギングビレーで、初体験でしたが、足下が安定していない分、足が疲れました。

 3ピッチ目、左にトラバースしてから、少し上がり、すぐにピッチが切れました。

 4ピッチ目、フリー、A0を混ぜながら、フェースを登り、ビレー点のあるテラスからさらに右にトラバース。また人工になり、小ハング気味の壁を右にトラバースして回り込み、フリー、A0で終了点まで。人工で右にトラバースを開始する支点が錆びた古いリングボルトだったため、「これは使わないでしょ。」と思っていたら、次のピンが見当たらず、「あれ?どっち行くんだ?」っと、ちょっと焦ってしまいました。

 5ピッチ目、赤茶けた垂壁を登って、途中からフリー。前のピッチもそうでしたが、やはりフリーのほうが、自分は快適に登れました。それでも、岩の脆さには注意が必要でした。

 6ピッチ目、最終ピッチ。ピナクルから気持ち前傾気味の垂壁を5mくらい登り、そこからフリー、A0で終了点へ。セカンドでも流石に疲労を感じ、アブミの立ち込みも気合でした。

 

 最終ピッチ終了後も、2ピッチほどロープを伸ばし、そこからアプローチシューズに履き替えて屏風の頭を目指しました。その時点で、16時半。日没まで1時間ほどなので、屏風の頭までは明るいうちに着きたいと、各々焦りながら歩きました。

 屏風の頭までは結構距離があり、踏み跡がありましたが、ほとんど人が来ないのか、藪こぎ状態で苦労しました。何とかヘッデンのお世話にならずに頭に出て、後は一般路を涸沢へと急ぎました。稜線上からは、涸沢に所狭しと張られたテントの明かりが、まるで町の明かりのように見てとられ、「今頃、みんなテントの中で宴会しているんだろうなぁ。」と、まだまだ先の長い私たちにとっては羨望の的でした。

 涸沢に着いたのは、19時過ぎでした。しばらく休憩した後、19時半頃涸沢を出発し、22時前には、横尾のテントに全員入りました。本日、約17時間行動。本当にお疲れ様でした。一息ついた後のビールは美味しかったです。

 今回は完全に自分の準備不足で、A木さんに頼るだけの山行になってしまいました。リードするには、もっと要領の良いアブミの操作を覚え、登攀中の周囲の状況に気を配って次の行動を起こす余裕が持てなければなと思いました。特に、古い支点への対応やセカンドを配慮しての残置支点の取り方など勉強になることは色々でした。パーティー全員が安全にスムーズに登攀できることを考える余裕が必要だなと考えさせられました。何にせよ、初の人工ルートを完登できたのは、大きな喜びでした。登らせていただきまして、感謝です。

 因みに、今年の涸沢の紅葉は、40年に一度の不作だったようで、全く色の無い世界でした…。(まあ、暗くてよく見えませんでしたが。)