10/6~8 前穂高 Ⅳ峰正面壁松高ルート

4時に起床するが天候は今ひとつ。上を見ると山はうっすらと雪をかぶっている。出発を少し遅らせて行くが、前日の偵察のおかげでアプローチはスムーズ。急なザレを降りて本谷へ。上の取り付きには数人が見える。ガレた谷を上がり、上部の雪渓手前で装備を付けて準備。問題なく雪渓の縁まで上がり右にトラバースして岩場に入る。

簡単な岩場を上がるとC沢入り口。上には大きなチョックストーンが見えるが下から見たほどの迫力はない。さらに一段上がれば右側にはハッキリした踏みあと。北壁パーティとはここで別れる。少し雪が残る濡れた草付きを上がるとT1。どうやら松高ルートは左に見える岩場のさらに向こう側らしい。下がってからの登りも不明瞭な濡れた斜面のようなので、ここからトラバースして取りつくこととする。

1ピッチ
ハーケンを2枚打ち、A木リードで少し濡れた草付きを左にトラバース。岩を回り込むと視界から消え、20mくらいで解除の声。前のパーティが抜けるまでしばらく待機。自分はラストでハーケンを抜いてからのんびりフォロー。

2ピッチ
A木リードでテラスから左上に上がりフェースを上がって行くが、支点も少ないようで慎重だ。その後はどんどんロープも延びて50mいっぱいで解除の声。ラストでフォローして行く。出だしは左上に上がりフェースをまっすぐ上がるが見た目以上に傾斜があり、体が慣れていないせいか、ちょっとドキドキ。フェースを上がった上は脆い岩が詰まったルンゼ状となる。ここを簡単に抜けると上にフェースが広がる支点に着く。

3ピッチ
A木リードで前の草付きが多い広いフェースをまっすぐ上がり、中段から右上に上がって行く。
セカンドでフォローしていくが、問題なくどんどん上がれて快適。さらに右上すると支点に着く。右上奥には前のパーティがハングを越すところが見えるがそこまで悪くなさそうだ。ラストも無事に来て合流。

4ピッチ
このピッチから最後までリードさせてもらう。右上に一段上がって奥に進むと松高ハング。足元はしっかりしているが、少しかぶっている感じ。それでも前の白い残置シュリンゲを右手でつかみ、左手でしっかりかかる岩を掴みながら身体を上げると、大変気持ちがいい。ハングを上がり、さらに少し右に上がると今度は高度感のある凹角。入り口で体勢を整え、支点をたくさん取りながらここも抜け口をA0で上がると広い広い松高テラス。前のパーティを少し待ちながらのんびりフォローを迎える。かなり楽しいピッチ。

5ピッチ
前のフェースをシュリンゲとヌンチャクを使ってA0で身体を持ち上げる。さらにフェースを上がり、右のカンテを回り込むとツルンとしたフェース。真ん中に細いクラックがまっすぐ走り、ハーケンが等間隔で3本打ってある。ここもA0で体を持ち上げ、ハーケンの頭を踏みながら上がるとテラスに着く。

6ピッチ
前のフェースを上がるが結構立っていて厳しい。ゆっくりバランスをとりながら左へ上がり、さらにまっすぐ岩場を上がると段々傾斜も落ちて来る。周囲も開けて来て緩い斜面を右上し、右側の灌木を支点としてフォローを迎えて無事に終了。

ロープとガチャを簡単にしまい、少し上がってから右側にトラバースしていく。少し嫌らしいところはあるが、しっかり踏み後もある。しばらくトラバースを続けると北尾根に合流。4峰ピークの少し下だろうか。ここからは北尾根を踏み後に沿ってクライムダウンして行くが大きな浮き石も多く気が抜けない。5峰の広いピークで大休憩。涸沢側を見ると紅葉が大変キレイだ。さらに降りるとテントが1張りある56のコル。モヤもかかり、ここからの下りのルートが分かるか心配だったがコルの右側には黄色の丸が書いてあり、踏み後もしっかりあり迷うことはない。降りてすぐの2箇所を微妙なトラバースでこなして高度をどんどん下げていく。
1度沢筋まで降りたところで今度はかなりの急な尾根を登り返す。やっと上がるとモヤの開けた先には奥又白池が少し下に見える。あとはトラバース気味に踏み後を歩けば、 ベースに帰り着く。