明神東稜(2013年5月4日-5日)

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今年のGWは別の山行を検討していたが、急遽、Y本、H浦で予定されていた明神に参加させてもらった。三月の上高地アイスでフラフラ散歩した時もカッコよく見えたし、前から気になっていたし。計画的には東稜を上がったあと主稜を縦走するから、周辺の概念も掴めるいいチャンスだ。なるべく二人を邪魔しないように大人しく大人しくついて行こうと思った。

いつもの沢渡駐車場で車中泊してタクシーで上高地まで。準備をして、水をちょっと多めに汲んで明神までのんびり。橋を渡って、すぐ右側の養魚場跡を通り、奥にあるひょうたん池の看板を対岸へ渡る。いい天気だな。

ここから開始。(07:30)ちょっとした樹林帯を赤布に沿って進むと右手は雪のついた沢状となり、傾斜も程よい。少し上がると右側には樹林の細い沢がのび、単独の先行者はそっちに上がったようだ。後ろのメンバーを見ると少し遅れているようだが、ルートも明瞭なので方角的にもあっている右側に同様に入る。さらに緩い傾斜を上がると樹林はまばらになり、沢は広がりを見せ、少し上には宮川のコルらしきものが見えてくる。後ろからは別パーティの若い二人が追いついてきた。疲れた感じのH浦、付添うY本の二人もその後ろから上がってくるが、一応確認してコルまで頑張ってもらう。この先のトラバース部の状態を早く見ておきたいからさ、頑張ってコルまで上がろう。(08:50)

コルに上がると左上には晴天をバックに明神の岩峰が思っていた以上にキレイに広がり、前には問題となる雪面が広がる。トレースもあり、雪の状態も問題ないように見える。若い二人に聞くと今日はバットレス基部まで行くとのこと。ベテランらしいソロのおじさんもだろうな。自分達はひょうたん池までか。。。?
雪の状態を見ながら休憩。他の三人はどんどん先行して行く。ここからは落石に備えてメットを付けて自分達もトラバースして行くが、トレース跡もしっかりあり、雪崩の心配もない感じ。中間のちょっとした岩場を挟んで、さらにイヤな斜面のトラバースを続け、最後に少し上がると尾根に到着。ひょうたん池は右側奥にあるようで、ブロックがキレイに積んである。(10:20)全員が揃い、さすがに時間がまだ早いので自分達もバットレス基部まで上がることに決定。よかったよかった。尾根の先を見ると先行の二パーティはいいペースですぐ上の岩場を抜けたようだ。ハーネス、ガチャを付けて東稜準備。

ここからはY本リーダー先頭にH浦、ラストM本で進む。緩い雪面を一段上がるとちょっとした岩場。右側の灌木が生えたラインを上がるが傾斜は急でも簡単で全く問題なし。岩の所々にちょっとしたつららがあって、ポキンポキンと折って舐めながら上がる。岩場を抜けて、さらに雪面を上がるとどんどん視界が開けてくるが、天候は曇りはじめ、少し雪がチラつく。さらに少し上がった斜面の途中にテン場が切ってあり、ブロックもキレイに積んであるのでのんびり休憩。(12:30)H浦は相変わらずバテているようで、ブーブー言っているが気にしない気にしない。ここまでひょうたん池から一時間半くらい。まあコルまでもう少しでしょう。

さらに尾根を上がると左には明日縦走する主稜がはっきり見えはじめる。広いハイマツが多い尾根を上がりきると、前にはどーんと明神ピークとその下のバットレス、さらにそのすぐ下のコルのテン場が見える。クライムダウンして行くとトイレを備えたキレイなテン場となっており、先行していた二パーティに一番奥の広いスペースをとっておいてもらえた。こういう配慮がとても有難い。(13:50)

テントを張ってようやくのんびり。雪から水を作り食事の準備となるが、久しぶりの作業で思っていたより時間がかかる。しかしせっせと作った水はゴミも浮かないしニオイもないし、美味しいなぁ。食事を終える頃には他のパーティはとても静かになっており、就寝したようだ。自分達も迷惑をかけないようにしないと。今夜の御宿泊は三パーティ。外の弱い雪は夜中まで続いた。

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翌朝は03:00に起床。テントから外を覗くと空にはキレイな星。自分達は今日も、技術的にも体力的にも人数的にも最後に取り付く予定。また、バットレス基部まで来れたので本日中に下山することとした。積雪もほとんどなかったようで一安心。素晴らしい日の出を見たりしながら、ゆっくり出発準備。05:00過ぎに他パーティを追って出発。天候は無風快晴。

基部手前で前のパーティの登攀を見ながらのんびり準備。予定通りY本リーダーがトップで取り付く。(06:50)途中はちょっと躊躇しながらのようだが順調に上がり、セカンドのH浦もビービー言いながらもユマールでサクサク上がっていった。自分はラストで気軽に。中間までは簡単で問題なく上がり、その上の右への一歩のかかりがちょっと微妙か。立ち込んで左足を凹角に上げればあとは簡単。その上を乗っ越して少し上がると支点に着く。ロープを解除して、その上の雪面を先行するが結構傾斜があり、なかなか楽しめる。Y本リーダー先頭にピーク手前の岩場を左から巻いていくと明神のピークだ。(08:00)

天候は無風快晴でグルっと穂高の山々を見渡せて最高最高。いやぁ、これだから山はやめられない!もちろん大休止。他の二パーティも含め、みんな笑顔。この後、予定では主稜を縦走して南西尾根から下山の予定だが、結構満足。奥明神沢は岳沢から前穂への登山者が列をなして上がって来ていて安心して下れそうだ。ソロのおじさんもそこから降りるらしいしな。。。下山も早く出来るしな。。。いいな。。。

しかーし!その時二人の若手ヤングパーティから、こんな素晴らしい条件はもうないだろう、勿体ない、と大変大変有難いお言葉を頂き、年寄りパーチィ我に帰る。確かにそうだな、多分もう来ないし。さあ行きますか!(08:40)

二峰とのコルへ急な斜面を下り、少し順番待ち。一段上がって雪に埋れたトラロープの助けを借りて左へ少しトラバースし、支点に着き準備。(09:30)今度は、H浦リードでY本セカンド、自分はまたまたラストで一ピッチ上がるが全く簡単。右側のフェースでは下部から上がって来たらしいパーティが懸垂下降している。さらに自分達の後ろからはガイドパーティ。ロープをしまって二峰を岳沢側から下り、進んで行くと三峰横。ここから先はずっと、広い稜線をのんびり散歩気分かと思っていたが、基本的に岳沢側を所々出てくる岩場をクライムダウンしながらとなり、結構神経を使う。どんどん進み、最後のコルへの斜面を慎重に下り、少し登り返すと五峰。ちょっと上がるとピークに立てて、ここからは上高地全体が見渡せてなかなか楽しめる。(11:50)

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あとは下るだけ。ハイマツの斜面を下ると広い広い五峰台地となり、だんだん雪もまばらになってくる。その先の南西尾根をテープを見ながら下ると尾根も細くなり、途中から右側の沢に降りる(多分前明神沢かな)。雪が深いがどんどん降りられてラクちん。雪崩を気にしながら左岸沿いを降りていくとだんだん沢は広がりを見せ傾斜も落ちてくる。かなり下り、いい加減疲れて飽きたところで左側に大きくカーブし、少し先で岳沢への登山道に合流した。(13:50)

H浦感想
「明神東稜どうですかね」のY本の一言から始まったこの企画。秋に東稜~主稜経験があり、雪山シーズンも興味あったので勿論了承した。ただ諸事情により山行日数が劇的に減っていた為、山らしい泊まりの山は昨年同時期の白馬主稜以来だった。フル装備で歩ききれるか、雪崩判断は大丈夫か、半分ドキドキ半分ワクワクの緊張丸出しの自分だった。
結果は、とりあえず歩ききれた!一週間前の降雪も、すっかり落ち着いて締まった雪だった。
まぁ、鬼のM本に尻を強く叩かれての歩きではあったけど。「せっかくの山なんで、初日は瓢箪池、二日目は五峰台地辺りで幕営して、ゆったり山に浸かりましょう。」なんて言ってたくせに。嘘つきっ!でもお陰様で久しぶりに心洗われる朝焼けが見れました。諦めずに尻を叩いてくれて有り難う。(ちょっとマゾっぽい 笑)核心のバットレスは、安定したY本がグイグイ行ってくれたお陰で無事通過。これまた有り難う。終始バカ話をしながらの久々の山は、快適で楽しく、とても気持ちの良い山だった。お二人と山に感謝感謝です。

Y本
飲み屋で「明神東稜いきたいです」という会話からスタートした今回。自分としてはとても満足
できる山行となった。バットレスをリードできたことと、フル歩荷で歩き切れたこと。そして、天気にも恵まれ、なによりメンバーに恵まれた。リーダーを受けて下調べやらいろいろとしたけれど
やはり経験、実力ともある2人がいたからこそ楽しめたと思う。二人の掛け合い漫才のおかげ
で歩きも楽だったし、楽しめたし。しかし核心はA崎邸であることは明言しておきたい。