「屏風行くのにもっと練習が必要だね」と言われていて9月の連休は三つ峠でアブミの練習をしなくてはと考えていたところM本さんから「丸東いくから」と言われ唖然とした。
丸山東壁緑ルート。自分が今持っている技術を総動員しても届かない。密かに“いつかこれが登れたらいいな”と憧れというか大言壮語というか、そんなイメージの場所だ。
諸事情がありアブミの練習は外ではできなかった。ジム壁ではやってみても実際の岩では話が違うだろう。はっきり言って自信は無い。最終的には“見に行くだけでもいいか”と考えていた。そうM本さんに伝えると「K緑さんと自分がリードするから行きましょう」と言ってくれて、それでもダメならテントキーパーかな?という気持ちで臨んだ。
扇沢駐車場は夏の剱に来た時よりも混んでいて下の方に停めて仮眠。翌朝6:30の始発に乗るべく並んだ。
旧日電歩道へ出ると登山者が数名いる。これはまずい!テント場を確保するために急いで内蔵助谷へ向かう。一番乗りで到着してテン場を確保。8時前にはテントを張って準備を始める。すぐに二人パーティが到着し彼らは先行して取りつきへ向かった。
我々は少し遅れて沢を詰めていくが記録によると途中で右側の藪へ突っ込むはず。登り過ぎではないかと考えて少し下ると、M本さんが「ここふみ跡がるから多分ここでしょう」と言って入っていく。あわてて自分も付いていくがそこそこの藪。あっちか?こっちか?とK緑さんM本さんで話しながら進むがこちらは精一杯でついていくだけ。やっと抜け出るとそこには大きな岩壁。先行していた二人はまだここへ到着しないのでちょいと待つ。とりあえず今日は試登。さてY本がいけるのかどうか?と言っているうちにK緑さんが「膝と手が痛い」ということでリタイアの可能性が高くなってきた。“え??もしかしてリードあり???”
先行パーティが取りついて待っているとジムでよくお会いするMさんがやってくる。こんな山中で会うとは!Mさんは二人で最終ピッチまで行く予定で今日は偵察とのこと。我々もM本さん、セカンドY本で1ピッチだけ登る。その後Y本練習で1ピッチリードするも最初のフリーが抜けられない。K緑さんが途中支点でTOPロープ状態にしてくれてなんとか登りアブミを練習する。なんとかなる?かな??不安感たっぷり。
そのうちK緑さんも何となく行けるかも?という感じになってきた。
帰りはふみ跡をたどったらあっさりと沢筋に出た。藪に入った直後に左をよく見ていれば立派なふみ跡があったのだけれど気が付かず、M本さん悔しがることしきり。
4時起床。K緑さんリタイアを表明。自分がリード確実となる。Mさんパーティが取りついてその後を6時に取りつく。
1ピッチ目M本さんリード。安定感がある。朝露でソールが濡れて滑る。しかも昨日はここで滑っている。なもんでセカンドのくせに自分は遅れ気味。M本さんから「もっと早く!」と声が飛ぶ。解かっているけれど怖い。
2ピッチY本リード。ボルトが沢山打ってあるので安心。とはいえどうしてもスピードは出ない。途中フリーがあるがなんとか通過。少し楽しくなってきた。
3ピッチM本さんリード小ハングを越えていく。楽しそう。ピースサインまで出ている。自分も越えられたが、越えた後が怖かった。どうしても処理がわからず手間取ってしまった。
ちょっと休みたかったけれどM本さんが許してくれない。
4ピッチ目Y本リード。そろそろ体力的にも限界が近い?どうしても怖くて腕を縮めてしまうので消耗が激しい。
5ピッチ目M本さんリード。すでにMさんたちの姿は見えずルートがわからなくなってしまった。このあたり自分が余裕なくてすみません。右へトラバースしてフリー。のっこすと藪に突っ込みバンドへ。12:20に到着した。
ホテル丸山を見学してMさんがオーバーハングに挑んでいるのを横目に懸垂下降に入る。
周りをよく見ながら懸垂して支点を確認しながら下りた。
自分としては上出来だったと思う。
あとは下るだけ。トロリーバスがあれば帰りたいねといいながら準備して下山。テン場までは案の定Y本遅れる。テン場につくと「すぐ出発!バスあるから」とそそくさと支度してダムまで行く。この季節だけれど人がいっぱいで、でもクライマーがいない。なんだか寂しいし場違いな我々。
M本さん毎度ながらありがとうございました。K緑さん、次回はリードお願いしますね?
(Y本)
丸山東壁は数年前の剣山行の帰り道に見た岩場。個人的にアブミのルートが大好きで、屏風・甲斐駒と登ったので、いつかは行きたいと思っていた。今回はY本さんとつるべとなり、余裕を持って、上部の核心ははじめからパスする予定とした。下部は考えていたよりも素直で各支点も安定していたので楽しむ余裕があった。Y本さんも安定した登りで問題なし。次回は上部のハング、行きましょう。(M本)