2014.8.3谷川岳中央カンテ

M本さん、K野で谷川岳中央カンテに行ってきました。

○21:00南町田発/0:00前ベースプラザ着、仮眠
圏央道、万歳。但し、交通費は思ったより割高でした。(普通車で5000円ちょい・・・イタイ)

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○3:30起床/4:00出発/4:50出合着
この週末は天気も良い予報だったので出合いにテントびっしりかな、、
なんて予想していたけれど、2張しかなかった。
テールリッジを見上げても先行パーティーの姿は確認できず。
「お、ラッキー」なんて思ったけども、その理由は後ほどわかった(気がする)
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○5:10出合発/6:20中央稜取付
広がる青空っ!照りつける太陽ッ!!ほとばしる汗ッ!!!・・・吐きそう。。。。
くそ暑い。とにかく暑い。。だんだんと気分も悪くなってきた、、
高度を上げるにつれて、ある言葉が頭をよぎる。

晴 天 敗 退・・・

ふらふらになりながら中央稜取りつきへ到着。早速大休止。
脱水症になるまいと水を2リットル持ってきたが、ここで400mlくらい消費した。。
この暑さ、まずい。とてもまずい。人が少ないのも頷ける。
休憩をとり気力が少し回復したので、行けるところまで行こうとギアを装備し、
水1リットルもって、いざ中央カンテ取り付きへ。
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○7:10 1P目スタート/10:20登攀終了(烏帽子岩基部まで)
他パーティーは、先行で凹状に1パーティーと、自分たちとほぼ同じタイミングで
変チに取り付いた1パーティーのみ。その後、南稜に2パーティー。
暑さが不安だったけど奇跡的に!?登りはじめると日が陰り、風も良い感じで出てきた。
岩もすべて乾いており、快適な登攀となった。ほんと気持ちよかった。
(※各ピッチ詳細は後述)

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○10:40烏帽子岩基部から下降/12:00頃 南稜テラス下部
同ルート下降を考えていたが、上部の懸垂支点が古いハーケン、リングばかりということと
(下部はペツルがしっかり打たれてた)、南稜から下降した方が気持ち的に安心ということで
後者を選択。

※下降後にお会いしたパーティーは前日に同ルートを下降されたということで、
感触を伺ったところ、下降中は左へ左へと振られるので結構気を遣うとのこと。

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○12:30中央稜取付/14:10出合/15:05ベースプラザ
中央稜取付にもどり、まずは水をガブ飲み。大休止。
ギアをはずし、デポした荷物を回収し、再び太陽に照らされたテールリッジを下降。
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<ルート全体を通して>
支点が少なかった。。(見つられなかっただけ!?)5Pチムニーと7P目の少しかぶった垂壁には比較的多い。カムは5P目で#2、7P目のクラックで#0.3を使用。なくても大丈夫だろうけどやはりあると安心。
今回チャレンジアルパインに記載されている通りにピッチを切れたと思うが、本の記載に比べると各ピッチの長さはそれよりだいぶ短い印象を受けた(5~10mくらい短め?)
記載の長さを鵜呑みにして、まだ伸ばさないと上がってしまうと変なところでピッチを切ることになるかも。


<各ピッチ詳細>
◇1P目(Ⅲ+/トラバースから草付直上/K野リード)
取付からバンドを右にトラバース。トラバースの抜け口がちょっと怖い。
その後、ルンゼ状の草付きフェースを左上気味に直上。
屈曲する部分の処理によっては、その後のロープ引き上げが辛くなりそう。
ビレイ点にペツルあり。
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◆2P目(Ⅲ/草付直上/M本さんリード)
ルンゼ状の草付きフェースを緩く左上気味に直上。
ルート全体的に言えることだけど、落石にはほんとに注意。
幸い先行する凹状パーティーからの落石はなかったけど、
自分たちも落とすことは許されない。支点少ない。途中、右側に支点あり。
ロープ流れを考慮しスリングで要調整。右上には凹状岩壁のラインがよく見える。
ビレイ点にペツルあり。

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◇3P目(Ⅳ/バンド左上からカンテ直上/K野リード)
ビレイ点の右側からバンドに入り左上、その後カンテを直上。
ちょろちょろと生える草が少しうるさいけど高度感もあり非常に気持ちよいピッチ。
ビレイ点にペツルあったかな。(気持ち良すぎて忘れた・・・)
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4P目(Ⅳ/カンテから小垂壁/M本さんリード)
カンテをさらに登り、小垂壁を乗越し、少し行くとチムニー手前にビレイ点。
ビレイ点近くは岩くず多し。下から見ると小垂壁は直上するほうが楽そうに見えるけど、
実際はいったん右側の出っ張った岩(岩の下側にハーケン1本あった)から入り、
左に抜けたほうが登りやすい。
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◇5P目(V-?/チムニーからフェース/K野リード)
もろいルンゼ状を少し登ると、大きな口を開けたチムニーへと吸い込まれる。
左側のフェースの方が一見優しそうだけど、それは罠。きっと上で行き詰る。。
チムニーに入り少し上がってから身体を外に出して、足でホールドを拾いながら
左手はプッシュ気味で超えた。楽しいピッチ。チムニーを超えると安定の(?)ぼろいフェース。

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◆6P目(Ⅲ/フェースを左上して右上/M本さんリード)
左上して変チからのルンゼとぶつかる辺りから右上。この辺も岩屑だらけで不安定。
簡単だけれども変チ側に石を落とさぬよう細心の注意が必要。
次ピッチの垂壁が見えるところでビレイ。ビレイ点は狭い。

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◇7P目(Ⅴ(A0)/垂壁からコーナークラック/K野リード)
いよいよ核心。最初の少し被った垂壁にはA0用の残置スリングが3本ほど垂れ下がる。
気合を入れてまずはフリーで試みる。わっかんねぇ。少し考え即断念。A0やっほー。
1つめの赤いスリングに右足を乗せ、アブミを巻き込む要領でぐいっと身体を持ち上げる。
一段上がった棚には手がかり少ない。右手を伸ばすとスリングを掴めたがバランスを
崩しそうなので、右手は少し身体よりの小さなカチっぽいホールドを頼りに、
左手で棚を押して抜けた。左側にもハーケン(残置スリングなし)があったので、
ここに1本かけておくとセカンドもだいぶ楽に上がれそう。
つぎはコーナークラック。クラックの下の方にハーケンがあった。その上にカム#0.3を使用。
あとから他の記録を見ると左のフェースを使うといいと書いてあるのをみたけど、
ほんとかなぁ。。そのときはあまり余裕がなかったので見落としていたのかも。
こんなところでレイバック!?なんてびびりながらなんとか抜けた。いや~怖かった。

セカンドで登ってきたM本さん、私の顔を見るや「ほんとにありがとう」と一言。
こちらこそオイシイところをリードさせてもらってありがとうございます^^;
そして、あれはセカンドでも怖いと思う。。もし濡れていたら迷わずアブミを出すor作りたい。
その後、右上に見える実際には四畳半もない四畳半テラスでビレイ。

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◆8P目(Ⅳ/スラブから凹角/M本さんリード)
四畳半テラスから草付を左上し、凹角に入る。ここも脆い。登りきった先でビレイ。

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◇9P目(Ⅲ&Ⅳ/草付からフェース/K野リード)
草付きの凹角を直上し、烏帽子岩の左肩を目指して左上。後半は思ったより悪い。
烏帽子岩基部でビレイ。烏帽子岩基部はまるで甲板のように平らで大きなテラス。

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◎南稜への下降
烏帽子岩基部にはハーケン&リングで作られた支点(残置スリング多数)と、
少し離れたところに銀色のハーケンだけで作られた支点(残置スリング多数)がある。
その二つを利用したバカ長いロープスリング2本(うち1本表皮がなくなり
芯もほつれてばらけている)を使ってルンゼへ下降。ロープに繋がる残置カラビナ
(黒いの2つ)が中央カンテ側にあるときは、それを外してルンゼ側に垂らす。

出だしはちょっと怖い。だってロープの芯見えていて、岩にこすれているもの。。
ほどなくして完全な空中懸垂となり気持ちが良い。但し懸垂支点は気持ち悪い。
背後の茶色い壁に支点あり。その後、茶色い壁の支点から1本の立ち木が
飛び出しているのが見えるのでそこを目指す。ビレイした方が安心。
笹薮の下は奈落の底という感じ。。

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笹薮に隠れて見えないが立ち木から先に5mほどフィックスロープあり。
フィックスがなくなってからは南稜目指して上にあがる感じでトラバース。
横に横にと意識すると下がりすぎるので注意。

ほどなくするとのっぺりとした笹薮に抜ける。少し進むと左下へと続く踏み跡あり。
踏み跡を5mほど下ると、次は右に続く踏み跡があり、そこを抜けると南稜終了点。


<その他雑感>
二人とも初めてのルート、3時間で抜けれたのはかなり良い出来だと思う。
今回強く感じたのは、谷川は2人パーティーで登るほうがすっきりして良い。
つるべでどんどんあがってとっとと抜ける。M本さんの口癖「スピードは安全だから」
ほんとにそう思う。核心で即A0に切り替えたのもM本さんに教えられたこの言葉が
身体に染み込んでいたからこそ。本チャンはスピードが大事。
その中で「どこかお楽しみのピッチ」を決めて、そこはじっくり取り組み、
それ以外のピッチはとっとと上がる。というのもありだけど、
谷川はとにかく早く抜けることが最優先な感じ。もちろん丁寧に、かつ慎重に。
そのためにはA0でも何でもいいので、とにかく抜ける。セカンドでも同じ。とっとと上がる。
すぐにor少し考えてもムーブが出てこなかったらそれはクライミングの技量不足。
そこで悩み、頑張ってもリスクを背負うだけ。そこはフリーや普段のトレーニングで
頑張るところ。(・・・ってか、頑張らないと><)

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また来ます。

(K野)