20190526一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜

(ところどころ雪が残る一ノ倉沢) まだ雪渓が残っているうちにと、Y本さんとI塚で一ノ倉沢南稜へ行ってきました。先週も企画していたのですが、南稜テラスへ向かうトラバースでブロック雪崩があったとのことで、さすがに危険なので延期。例年になく雪が多かったのが理由だそうです。 その後大雨が降ったことでブロック雪崩が落ちきったそうで、今週決行することに。しかしクライマーの考えることは皆同じ、絶対混雑するだろうとかなり早起きしたおかげで、一番乗りで登攀開始。この日は気温が上がりかなり暑かったので、待ち時間がなかったのは助かりました。しかし南稜には10パーティ位入っていて、懸垂下降も待つこと数回。結局計画通りのタイムスケジュールになってしまいましたが。 (雪渓がしっかり残っていました) 一ノ倉沢出合からすぐの右岸の雪渓に亀裂があったので、左岸を通って奥へ。雪渓はかなり残っていて、テールリッジ末端のフィックスロープが垂れている所へ到着できました。その後は後続を待たせては悪いと、しゃかりきにクライミング。登っている途中、ドドーンとすごい音がして左手を見ると、滝沢からブロック雪崩が大量に落ちていました。規模はこの朝のものが一番大きかったですが、この日はもう2~3回雪崩があり、やはり気温が高くなったせいなのでしょうね。 今回は5P目の馬の背リッジでY本さんがけっこう伸ばして登ってくれたので、全部で6Pとなりました。核心の7P目が今回は6P目にあたり、ここはやったことがなかったのでトライすることに。Y本さんに以前、核心部は引き出しの取っ手のようなポケットが見えたら左手でとり、アンダーで持ったまま右手を伸ばすと上にガバがあると聞いていたのですが、ある程度体を上げると、アンダーを効かせなくてもガバを取ることができました。 (最終ピッチを登るY本さん) 終了後は南稜テラス下まで懸垂下降し、トラバースを戻ります。岩が乾いていたのはありがたいのですが、猛暑で全身疲労がきたのか、今回踏ん張りが効きにくい感じがしました。とにかく暑くて暑くて、下山後いくら水分をとってもちっとも渇きが癒されないのです。これからもっと暑くなっていくでしょうから、先が思いやられますね・・・ ... 続きを読む

20190518-19 火打山山スキー

今年は残雪が豊富なので、まだ板納めには早いかなと思い、しぶとく残雪のスキーを楽しみに出掛けて行きました。 1日目:笹ヶ峰~富士見平~高谷池ヒュッテ 笹ヶ峰の登山口駐車場から出発。流石に登山口から板を履いて雪の上を歩くことは出来ず、板を背負ってのスタートでした。 のどかな登山道を赤テープを頼りに辿ります。 十二曲がりの右側の斜面を直登しているところです。ここは先行登山者の足跡につられて直登してしまいましたが、登山道沿いに左にトラバースしてから十二曲がりを登った方が、藪漕ぎをせずに素直に登れたと思います。残雪のルートファインディングは難しい。 十二曲がりを過ぎて、尾根上の急な登山道を登ります。 富士見平に到着。急な尾根道の傾斜が緩くなったところから板を履くことが出来ました。 高谷池ヒュッテに到着。この日はテントが6、7張、ヒュッテに泊まったのは我々と単独の方1名でした。小屋に着いて一息入れた後、早々に宴会を始めて約5時間、のどかな火打の夜を楽しみました。 2日目:高谷池ヒュッテ~火打山~高谷池ヒュッテ~富士見平~笹ヶ峰 朝6時半頃、高谷池ヒュッテを出発。午前中は曇りの予報でしたが、朝から良い天気でした。 池を越えて天狗の庭を進みます。 火打山山頂に向けて、手前の斜面をトラバースします。 山頂に向かう斜面です。手前のコルから30分くらいで山頂に着きました。 山頂で記念撮影。雪はありませんでした。 焼山、北面台地、昼闇山、高松山方面。2年前に行った山行を思い出しました。 黒姫山。1月に行きました。あんなに雪があったのに、すっかり溶けてしまいましたね。 GWに行った朝日岳も良く見えました。まだ雪倉岳北面は滑られそう。 高妻、中妻、乙妻。ん~、かっこいい。来年はパウダー狙いでロックオン!! 思い出と今後の展望に浸ったところで、滑走開始です。 コルまで滑って、北側の広い斜面に向かいました。 3年前にも滑って満足だった北側斜面を200mほど一気に滑りました。 雪質も良く。満足、満足。 自分たちのシュプールなどを見返したりして、しばし休憩。 稜線に向けて登り返しです。 稜線に出て、妙高山方面を眺めながら、ラストラン前に感慨に耽りました。 天狗の庭に向けて、ラストラン開始。 天狗の庭まで一気に滑って、高谷池ヒュッテに向かいました。 高谷池ヒュッテに着いて、長めの休憩を取ってから、名残を惜しんで下山を開始しました。小屋番さん、お世話になりました。教えていただいた赤倉観光スキー場の居酒屋、来年行ってみます!! 火打をバックに、黒沢岳のトラバース道に向かいます。 黒沢岳のトラバース道から火打、焼山を望む。ここからの景色も素晴らしいです。 富士見平からシールを外して、登ってきた尾根上の登山道を、雪が切れるところまで滑りました。 十二曲がりの下り。 駐車場に到着。お疲れ様でした。 今回は癒しの残雪スキー山行でした。笹ヶ峰の雰囲気といい、高谷池、天狗の庭周辺ののどかな地形は牧歌的で癒されます。火打山の稜線からは、今年滑った山々の復習が出来て感慨深かったです(色々と行ったなぁ)。来年も頸城周辺の山々にはお世話になりたいと思います。(S井く) ... 続きを読む

20190503-05 槍沢山スキー

GW後半は天気が安定する予報でしたので、今期から山スキーを始めた山仲間を誘って槍沢のスキーを楽しんで来ました。 1日目:上高地~横尾~槍沢ロッジ~ババ平 朝日岳の疲れが抜けず、沢渡には遅めに着いてしまいました。上高地からテント泊装備でスキー板とスキー靴を背負ってとりあえず横尾まで。歩いているうちに段々と肩に重荷が食い込んできました。スキーは履くもので背負うものではありませんねぇ。 スキーを背負うのに耐えかねて、横尾を過ぎたあたりから雪が出てきたのでスキー歩行に切り替えました。が、これが後ほど仇となることに。。。 槍沢ロッジに着きました。横尾から槍沢ロッジまで雪が切れているところもあり、スキーを脱いだり履いたりで結局かなり時間を取ってしまいました。今までこの区間がこんなに長く感じたことはなかったかも。 ババ平に到着。まだ埋まっている倉庫(?)の脇にテントを張り、お疲れ様の宴会を開始しました。 2日目:ババ平~槍沢~槍ヶ岳小屋~槍沢~ババ平 天気の良い中、ババ平を出発。 朝のうちは雪面はまだ固かったので、歓談しながらマイペースで進みました。 雪は豊富でした。陽が当たって、急速に雪面も緩み始めました。 真っ青な空と真っ白な雪で写真も白飛びしてしまいました。白と青のコントラストが綺麗でした。 槍ヶ岳小屋への最後の急登に差し掛かる前に休憩していると、大喰岳北面から1パーティーが快哉を挙げながら楽しそうに滑り降りてきていました。まだ残雪が多いので大喰岳北面も快適そうでした。 さて最後の急登です。 登山客の列が出来ていました。スキーヤーもポツリポツリ。 槍ヶ岳山荘に到着。大槍に登る登山者も多数いました。 しばし休憩して(プシュもありで)、滑走開始です。 雪も緩んで丁度良いザラメで山荘直下から滑り出せました。 快適なザラメ雪を一気に滑り降りました。 一気に滑って、斜度も平坦になって、疲れたぁ。ここからババ平まではすぐそこ。苦労して登って、下りはあっと言う間です。 この後テントに戻って、昨日からの心地よい疲れに、早々に美酒に酔いしれました。 3日目:ババ平~槍沢ロッジ~横尾~上高地 ババ平に陽も当たり始める頃に撤収作業を開始しました。 槍沢ロッジまでスキーで下りましたが、朝まだ固いカリカリ、ボコボコの斜面は寝起きには辛い。。。 槍沢ロッジで朝ごはんを自炊し、その後はスキー板を担いで下山しました。 上高地到着。お疲れ様でした。 今回はテント泊でしたが、スキーで来ている人たちは小屋泊が主流で、我々以外にテント泊をしていたスキーヤーは1名だけでした。やはり荷物も重いし、滑りを楽しむには小屋泊かなぁと思ってしまいました。ですがまた別に、槍ヶ岳小屋から下降する前に、オートルートを辿ってちょうど槍ヶ岳小屋に着いたばかりというパーティーに出会い、話をした際には、長期の山スキー縦走ルートも達成感、充実感あるなぁと羨ましく思ったりもしました。来年は太郎平ベースで薬師岳、黒部五郎、双六界隈に足を踏み入れてみたいなぁ。(S井く) ... 続きを読む

20190427-29 栂池~蓮華温泉~朝日岳~紙すき山牧場 山スキー

今年は暖冬で積雪も比較的少なく、雪解けも早いかなと思っていましたが、3月,4月には思いがけず豊富な降雪に見舞われ、結果として残雪の多いシーズンになりました。そのため、GWに行く山の選択肢が広がり、悩んだ結果、昨年行った雪倉岳北面の素晴らしさが忘れられなかったこともあり、そちら方面の朝日岳に足を伸ばしてみることにしました。帰りは、紙すき山牧場に降りるクラッシックツアールートを取ることにしました。 1日目:栂池高原~天狗原~振子沢~蓮華温泉ロッジ ロープウェイを降りて、栂池自然園から出発です。既に雪がちらついていて、稜線は荒れているであろう天気でした。 天狗原に向かいます。 天狗原に到着。ここから白馬乗鞍岳に上がって天狗の庭経由で蓮華温泉に降りる予定でしたが、強風と視界の悪さで稜線に行く気になれず、大人しく振子沢を下ることにしました。 滑走開始。雪が顔にバチバチ当たって痛い、痛い。 でも、パウダーは楽しめました。 林道に出て、乗鞍沢の橋を渡ります。蓮華温泉はすぐそこ。 蓮華温泉に到着。到着のお祝いをした後、この天気で外湯に入る気にはなれなかったので、内湯で暖まりました。極楽、極楽。 2日目:蓮華温泉~白高地沢~朝日岳~白高地沢~蓮華温泉 本日は晴天。蓮華温泉から向かう朝日岳も良く見えました。向かって右が五輪山、左が朝日岳です。 朝イチで出発です。 兵馬ノ平へ向かいます。 兵馬ノ平を進み、瀬戸川への降り口へ向かいます。 瀬戸川を渡る鉄橋に向けて、急斜面を滑ります。 朝イチでまだ荒らされていないので快適。 鉄橋を渡ります。 鉄橋過ぎて、赤テープ沿いにゆるやかな尾根上を登ります。 地図を見ながら、なるべく急な登りを避けて、白高地沢に向かいました。 第一の台地に到着。広い台地で雪倉岳北面、朝日岳、五輪山の眺めが最高でした。 第一の台地からはやや急斜面を登って第二の台地に向かいました。 第二の台地から、朝日岳と長栂山の鞍部に向けて、広い斜面を登ります。 右奥は五輪山。来年は東京オリンピック! 斜面の上部で、鞍部までは上がらず、朝日岳側への尾根の左側を回り込み、山頂を目指しました。 山頂は広く平らでした。風も穏やかで、富山湾と能登半島をはっきりと見ることができました。左右に伸びる能登半島の全貌が見られて何となく感動。。。 あまりに穏やかだったので、のんびりしてしまいました。帰りが遅くなってしまうので、滑走開始です。 登ってきた尾根を一段下ります。 ここで、先に山頂を出発したおじさま2人パーティーが尾根右側(登ってきたルートの反対側)に滑って行ったので、「我々もそちらに行こうか」と話していたのですが、地図を見ると結構な急斜面のルンゼ。「やはり予定どおり登ってきた斜面を。」ということになりました。後ほど蓮華温泉で合流した先行おじさまパーティー曰く、「体感的には50度ぐらいの斜面だったよ」と。。。行かなくて良かった。。。 さて、気を取り直して、登ってきた広いダウンヒルを滑ります。 先行の1名の方以外はシュプールはほとんどない陶酔のダウンヒルでした。。。素晴らしい。。。 第一の台地まで滑ってきて山頂を振り返る。 ここから往路を帰ります。 鉄橋を渡り、兵馬ノ平、蓮華温泉へ試練の登り返し。 蓮華温泉着。この後はロッジの外で一先ずビールで乾杯しました。最初の一口がしみる。。。疲れましたが充実のルートでした。 3日目:蓮華温泉~フスブリ山手前(1964m)~風吹大池~箙岳~蒲原山~紙すき山牧場~道の駅小谷 本日も晴天なり。昨日滑った朝日岳も朝から良く見えました。 気分良く蓮華温泉を出発します。 まず天狗原へ向かうルートを登り返します。 乗鞍沢を詰めて、1700mぐらいからフスブリ山に続く稜線へ向けて、地図上で登り易そうな支尾根をGPSで確認して登りました。 1964mの稜線に出ました。ここからは稜線沿いに進みます。 フスブリ山山頂です。白馬周辺の山々から、アルパインクライミングのクラッシック明星山まで良く見えました。 風吹大池に向かいます。 風吹大池へ降りる広い斜面を滑ります。 雪は結構重めでした。 風吹大池から箙岳に向かいます。ここから箙岳まではシールを付けて進むか悩むようなルートが続きます。 箙岳の北斜面です。山頂を過ぎて、いきなり開けた急な広い斜面が出て来るので結構びっくりしました。 蒲原山への稜線を進みます。 蒲原山は緩やかな広い山です。ここから紙すき山牧場までのフィナーレの斜面を滑ります。 紙すき山牧場が見えてからの斜面は、木立が密なちょっと急な斜面でした。木の根元が大きく開いているところがあるので、穴に落ちないように注意しながら滑りました。 紙すき山牧場に降り、林道を目指します。 林道に着きました。ここから林道をショートカットするルートを取りましたが、雪も少なくなり、1000mくらいから林道沿いに降りました。 スキーを履いたり脱いだりして、結局830mくらいからはスキーを担いで道の駅まで降りることになりました。道の駅に着いてからはタクシーを呼んで、栂池スキー場まで戻りました。 今回は2日目、3日目とも行動時間が長く、色々と変化に富んだ面白いルートでした。アプローチは遠いですが、白高地沢近辺の山々の景観は、やはり時間を掛けていく価値のある場所だなと思います。景観、スキー滑降、その後の温泉、パーフェクトではないでしょうか!!!今回は蓮華温泉の外湯に行けなかった(気力がなかった)のが残念です。 紙すき山牧場へのクラッシックルートも変化に富んだ良いツアールートでした。 山スキールートのいい所が色々と詰まった良い山行になりました!!!(S井く) ... 続きを読む

20190503五竜遠見尾根

平成から令和への改元となった、2019年のゴールデンウイーク。 ところが前半の天気が良くなく、なかなか出発できませんでした。 そうこうしているうちに当初の計画が変更となり、Y本さんとI塚で五竜G0を目指すことに。 予報を見て解ってはいたのですが、五竜はかなり温かく、シュラフも3シーズン用のものでOKでした。 しかしこの気温の高さのせいで雪が腐り、スノーバーでの支点が取れなさそう。 アックスもきまらなさそうなのと、小規模なデブリも散見できたので、現地入りしてから遠見尾根に変更することにしました。 (途中には細めリッジも) 初日はテレキャビンというゴンドラの発着所であるエスカルプラザまで30分位歩き、アルプス平までゴンドラで移動、そこからはスキー場の隅っこを歩いていきます。 最初に現れる小ピークである地蔵ノ頭は巻いていき、その後小遠見山、大遠見山という小ピークを経て進んでいきました。 西遠見山手前でビバークしようと思っていたのですが、風がかなり強くなり、全荷もつらいので大遠見山を過ぎたあたりでビバーク。 手を離したらテントが飛ぶほどの強風だったので、雪ブロックを切り出して風上に積みました。 (西側に雪のブロックを積んで風よけに) 翌日は西遠見山を経由して新岳へたどり着きますが、ここもほとんどの人は巻いていきます。 新岳を巻いた後のトラバースがナイフリッジと聞いていたのですが、道がついているカールの裏側は普通のトラバースで、特に危険はありませんでした。 ただし雪がかなりぐずぐずで、アイゼンがきまりにくく、ピーク手前の急な雪壁の下りはちょっと緊張。 I塚の調子が悪く明るくなってからの出発だったのですが、天候のコンディションが良く、ヘッデンを出さずに済む時間にはビバーク地に戻れました。 ところで五竜岳といえば、武田家の紋である菱形の雪形である「武田菱」が有名。 この雪形を御菱(ごりょう)と呼んだことから、「ごりょう」がなまって「ごりゅう」になったという説があるそうです。 登頂日は天気がよく、この武田菱もよく見えました。 (雪が多い季節の方が、武田菱もはっきり見えそう) 翌日下山した時の五竜の街は、日中の気温が19度となり、Tシャツでも大丈夫だったほど。 G0を目指すなら、遅くとも4月の半ばに来た方が良さそうです。 ... 続きを読む