明神岳東稜からジャンダルム飛騨尾根

2004年8月12日〜15日

8月12日
上高地(6:30)〜明神館(8:00)〜ひょうたん池(16:00)

 今日から明神岳に登り穂高まで行く、初日はひょうたん池 以上に行く予定である。 明神館から橋を渡り魚養所を横切って山に入って行った。 しかし入山して、たぶん30分もしない内に道に迷っていた…。 赤布を追って行くつもりが途中から無くなった…。 長々と藪こぎをしながら悪戦苦闘している内に変な尾根に出ていた。 おかげで景色も漸く開けたが隣の尾根が本来行くべきところと分かり、ちょっと疲れて一服する…。 適当に尾根を下りガレた沢伝いに登り返した。そこを登り詰めると斜面の台地に出る。 ここからひょうたん池まではお花畑などが出てきて楽しい。 あまり見かけない蝶々が群れを成して、あちこちで飛んでいる。 やがて眼前に明神棟稜のスカイラインが見え始めると、ひょうたん池はすぐである。 4人用テントが2張、ちょっと下に1人用テントが1張、張れる位の場所が出てきてテントを張る。 他に人はいない。今夜はちょうどペルセウス座流星群の時期と重なり、うねる様な天の川が見えた。 流れ星も次から次へと飛んでいる。人工衛星も軌道を描いているのが見える。 こんなに夜空を広大に感じたのは初めてかもしれない…。とにかく綺麗だった。



8月13日
出発(5:30)〜明神主峰(12:00)〜前穂(13:30)〜奥穂(15:30)〜白出しのコル テント場(16:00)

 今日はいよいよ念願の明神岳主峰を目差す。藪漕ぎを再開しながら高度を上げてゆく。 遥か下に明神館や上高地の赤い屋根が小さく見え景色もなかなかいい。 途中、1ピッチのバットレスを越えると頂上が近いのが分かる。 もろい岩肌に注意しながら進むとやがて顕著な岩稜帯に変わりすぐ頂上に至る。 雲ひとつ無い晴天で明神主峰に立てるのは幸運と思う。 槍ヶ岳から乗鞍岳、ジャンダルムも常念岳も蝶ヶ岳も一望できてアルプスの中心にいるように感じられた。 ここから見ると前穂は見たことも無い形だ。 小休止の後、尾根伝いに前穂に上がり、 そのまま縦走路をたどって奥穂経由で白出しのコルへと歩きテントを張る。 今日も綺麗な夕日に包まれて夜になった。




8月14日
出発(5:00)〜奥穂(5:40)〜ジャンダルム飛騨尾根取り付き(8:00)〜終了点(10:00)〜奥穂(12:00)〜涸沢(14:50)〜横尾(16:30)〜徳沢(17:20)

 今日は午後から天気が崩れる予報だったので早めに飛騨尾根登攀を終了させるつもりで出発した。 奥穂についた頃には視界が悪くなり遠くは見えなくなっていた。 ジャンダルムまでウォームアップのつもりで行き、基部のβ沢を下る。 明らかに人が入っていない事が判るような沢で、 ちょっとしたショックで大規模なラクを誘発してしまう箇所があり緊張した。 T3らしき所で取り付き、登攀を開始。昨日までの晴天が嘘の様に回りは何も見えない。 ルートは行き詰まり絶望になる様な難所は特に無かった。 しかし中間/終了支点があまり無くハーケンも少ないところが緊張させられる。 8ピッチ目で登攀終了点についてホッとした。記念にジャンダルムにも登り奥穂まで帰る。 明日の天候も引き続き悪いようなので涸沢におりて帰路に着く事にした。 とりあえず以前からテントを張りたかった徳沢まで行き、 牧草の上でゴロゴロして贅沢な時間を過ごし夕食を取る。


8月15日
出発(7:00)〜明神館(8:00)〜上高地(9:30)

 下界に下りてきて気が緩んだせいか寝坊をした。 テントが薄暗くなってきても誰も起きる気配が無いので二度寝、三度寝、四度寝と繰り返していたら、 なにやらもう6時だった。今日は帰るだけので気楽に出発。朝食は明神館で岩魚定食を食べ、 朝からぶどう酒を飲んで軽く酔っていた。目の前に明神岳が見え、 昨日まであそこに居たのがウソのように思えた。しばらく眺めていたが、 やがてほろ酔いのまま上高地まで行き横浜までの帰途についた。


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