目の前にはスラブ状の登攀意欲を掻き立てる見事な滝が立ちはだかる 朝6時に西沢渓谷駐車場を出発。西沢渓谷から東沢に入る。 何度かの徒渉と高巻きを繰り返すと、2時間ほどで東のナメ沢に到着する。 目の前にはスラブ状の滝が立ちはだかる。登攀意欲を掻き立てる見事な滝である。 8時過ぎ、装備を身につけ登攀を開始する。 出だしは傾斜が緩いので、ザイルをつけず水流の右側から取り付く。 1段目(140m)までは普通に歩ける。ここで水流を横切り左側へ。 白いスラブと言われるところあたりからやや傾斜が出てきたので念のためザイルを出すが、 このあたりのスラブはフリクションがよく効くので、 難なく2段目の途中(80mくらいか)まで上がる。 2段目の上部で傾斜がかなり出てきたので、この先はしっかり確保態勢をとって登攀することにする。 まずは私が試登する。出だしこそ順調であったが、10mほど直登したところで行き詰る。 部分的に濡れているところがある上に傾斜もある。 ここはしっかりと支点をとって越えたいところだが、残置の支点はなく、 ハーケンやカムをセットできるようなリスも見当たらない。 仕方なく他のルートを探ってみるが、あまりよくない。 やはりここは正面突破しかないとの結論に至るが支点がとれない状況では踏ん切りがつかないので、 クライムダウンして一旦戻る。選手交替。K氏に託すことにする。 まずは、核心部の手前で支点をつくる。 ハーケンを打つも効きが悪いので、さらにナッツ2本を岩に打ち込んで支点とする。 私が行き詰まった最初の難関はクリア。 しかし、その上も難しいらしく、しばらくルートを探るもどこも細かいようだ。 ここも残置の支点はなく、カム類も使えない。 そこで渓流シューズからクライミングシューズに履き替え、フリクションを効かせて突破する。 ここをセカンドで登るが、渓流シューズでは(アクアステルスラバーであっても) 細かいところでの立ち込みは怖かった。 この先一旦ブッシュ帯に入り、再びスラブへ。 ここもK氏リード。残置ハーケン2本で支点をとってトラバース気味に右上しピッチを切る。 このトラバースは、クライミングシューズならなんでもないところだが、 渓流シューズでは足の置き場所に神経を使う。このピッチで実質的な登攀は終了のようだ。 ここまで標高差約300m。時折雨がパラついたり、 風も強かったりで必ずしもいい条件ではなかったかもしれないが、花崗岩のスラブはとても美しく、 スケール、内容ともに満足のいく素晴らしい滝であった。 (ここまで登攀所要時間2時間) 大滝の後は15mと20mの滝が続くか、ここは難なく巻ける。 その先は、沢は様相を変え樹林帯の中に5m前後の滝が続く。 難しくはないのだが、落ち葉があったり、ヌメリがあったりで、 アクアステルスラバーでは滑ってしまい、すんなりとは行けない。 ただ直登できない滝には巻き道がついているので問題はない。 水流が消え少し上がったところで、右側の支尾根に入り、薄い踏み跡をたどる。 ほとんどヤブこぎすることなく鶏冠尾根に出る。(大滝上から約1時間15分) 鶏冠尾根を下りはじめるとすぐに第3岩峰にぶつかる。 ここは迂回ルートを使う。この後はほぼ尾根伝いに行ける。 見晴らしがよく気持ちのいいところだ。 悪いところもなく第2岩峰、第1岩峰を越えていくと、やがて樹林帯に入っていく。 以前に比べ、たいぶ歩かれているようで踏み跡はしっかりしているし、 至るところに赤テープがついているので迷うようなところもない。 ただし傾斜があるところが多いので下りでは注意が必要であろう。 最後の方は毎度のことだが駆け下りる。1時間半程で鶏冠谷出合に到着。 10分程で西沢渓谷の遊歩道へ。 遊歩道には一般の人が大勢いて、我々の方が場違いに感じるほどである。 13時40分頃駐車場に到着し、 トータル8時間弱の行動を終えた。短いながらも、いろんな要素があり楽しめるコースであると思う。 (記 UK) |