穂高・屏風岩東稜

2010年7月18日


アブミに乗りながらのハンギングビレーでセカンドを迎えるが高度感が大変気持ちいい

9月4日(土) 晴れ
河童橋(7:25)〜明神(8:00)〜徳沢(8:35)〜横尾(9:35) 〜1ルンゼ出合(10:30)〜T4尾根取り付き(11:30)〜T4(13:40)

 前夜21時に横浜で待ち合わせ、高速も渋滞なく1時過ぎにいつもの場所でテントを張って仮眠。 6時起床。第二駐車場からタクシーを相乗りして7時過ぎに上高地。梓川沿いを晴天の中、歩いて行く。 横尾に着くと目指す屏風岩が見える。水を補給し、重くなったザックを背負ってしばらくすると分かり易い渡渉地点。 無事に対岸へ渡り、すぐ前の薄暗い白い1ルンゼ押し出しを詰めて行くがすぐに開けて太陽が照りつけ、相変わらずバテる。 やっとT4尾根取り付きに着いて日陰で休憩。とても静かで上の壁には誰もいないようだ。

 1ピッチ目はKTさんリードで左のスラブを巻いてするすると上がって行く。 自分も続いて行くがザレて滑るし、背負った重いザックでバランスは崩れ、大変疲れる。 2ピッチ目もKTさんリードで前のルンゼを上がって行き、しばらくして解除の声。 セカンドでも途中のフェースを左に移るところが悪くリングボルトを踏んでA0。

 ここからは少しザレた時々岩場となる樹林帯をロープを付けながら上がる。 壁の基部の手前でまた簡単な岩場となりリード。チムニーを右に上がって少し 歩くと誰もいない静かなT4に着く。 すぐ前には雲陵ルートの凹角が見え、右を見れば木が多いT2と東陵のラインが見える。 その後は広いT4にテントを張ってのんびり休み、16時前から外で夕食。 結局後続は誰も来ないで自分達だけの静かな夜となるが、1ルンゼ側の落石や小雨がパラつく音が聞こえる。


9月5日(日) 晴れ
T4(5:05)〜T2(5:25)〜1ピッチ目(5:40)〜5ピッチ目(7:50)〜下降開始(9:15)〜T2(10:50) 〜T4(11:30)〜T4尾根取り付き(12:30)〜1ルンゼ出合(13:10) 〜横尾(13:35)〜徳沢(14:30)〜明神(15:30)〜河童橋(16:15)

 4時起床。外はまだ暗く、空には細い月とたくさんの星。今日も暑くなりそうだ。 朝食を食べ外に出ると尾根の下には白いライトが2つ動いているのが見える。 明るくなるのを待って5時過ぎに移動開始。草が多いザレを降りて基部をトラ バースしていくが見た目ほど悪くなく、 フィックスもあるので安心。奥に進んで簡単な岩場を上がって広いT2に着く。

1ピッチ目
 準備をしてKTさんリードでスタート。ザックは置いてカラ身で行く。 すぐの垂壁のピンは飛んでいるものもあるが、残置のシュリンゲもあって小ハングをすぐに越えて上のテラスから解除の声。 自分がスタートすると少し上のピンにかかるシュリンゲとヌンチャクが外れて落ちて来たので、リベットハンガーをピンに掛けて上がる。 その後は小ハングも特に問題なくテラスに上がる。

2ピッチ目
 リード。ラインはきれいに左上して見えなくなっている。アブミを掛け替えながら上がって行くが、 傾斜もそこまでなく支点もしっかりしているので緊張しつつも楽しみながら行ける。 左下のT4には雲陵ルートの準備をする2人が見える。だんだん疲れて来たフェースの先にペツルのボルトが見えてくる。 ヌンチャクも余裕で支点に着き、アブミに乗りながらのハンギングビレーでセカンドを迎えるが高度感が大変気持ちいい。

3ピッチ目
 KTさんリードで左上にアブミでトラバースして行く。少し上がったところですぐに解除の声。すぐにリッジに着く。

4ピッチ目
 自分のリード。前のフェースを途中からフリーで一段上がるとすぐに立派な支点があるテラス。 右のフェースにはピンが続いているのが見えてラインははっきりしている。す ぐにセカンドが合流する。

5ピッチ目
 KTさんリード。右にアブミでトラバースして右上し、少しハングしたカンテを直上していく。 上の方ではフリーとなるらしく声がかかる。その後、姿は見えなくなり、しばらくして解除の声。 セカンドでトラバースして続いていく。 途中の小ハング下のピンは効きが少し甘い感じで体重をかけるとギリギリとイヤな音がする。 その後はカンテを少し右から上がって合流する。核心と感じたピッチ。

6ピッチ目
あまりに暑く核心のピッチも終わるので、次のピッチで降りようということになり、最終ピッチのリードスタート。 前の赤っぽい垂壁をアブミでまっすぐ上がり、一段上がるとフリーとなり左上気味に登る。 途中、カムで支点を取りながら行くと広いテラスと懸垂支点。KTさんもすぐに来る。

 下降開始だが、暑さで頭がクラクラして体調最悪。KTさんに先に降りてもらう。 まっすぐいっぱいに降りて狭いテラスに着きロープを回収しようとするが出来ない。 結局KTさんが半分ほど登り返して途中から懸垂して再度合流。 次もまっすぐいっぱいに降りて少し狭いテラスに着き回収もうまく行く。 最後の懸垂でT2下のトラバース地点に降り、T2へ戻って飲み物を飲んでやっとなんとか復活。 少し休んでからT4に戻り、テントを畳んでの撤収作業。 雲陵に2人組の姿はもう見えず、東壁ルンゼには2人組が取り付いている。結 局この日は3パーティーがそれぞれ別のルートに入った感じだ。

 少し降りた樹木の支点から懸垂開始。その後はT4尾根取り付きまで5回の懸垂でとりあえずの安全地帯。 ハーネス、ギヤをしまって明るいルンゼを降りて行くが結構すぐに出合いに着く。 渡渉も問題なく登山道に合流し、その後はバスの時間も余裕なので横尾、徳沢、明神と長く休みながらバスターミナルに着く。


感想
 1週間前の三つ峠でのアブミトレーニング後に急遽決まった屏風岩東稜。 ルート自体は難しくはなかったが、アプローチ・懸垂下降と手際良く行うことがポイントとなる。 今回はパートナーのKTさんにかなり頼った部分が多く、反省が多い山行となった。 暑さに負けない体力も必要だ。


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