烏帽子岩左稜線は、太刀岡山左岩稜を開拓した松原氏、篠原氏が小川山の古いルートをつなげて再生し、
今年発表された全20ピッチのロングルートだ。
今年の5月に会のSKさんからこのルートの事を知らされた時、1度登ってみたいなと思っていた。
ちょうど10月の会山行に小川山に行くことになり、この機会に登ってみることにした。
メンバーはYY、MD、KKの3人。
早朝、日が出る頃にはもう出発しようと、リーダーのYYさんに言われていたが、前日のキャンプで案の定飲みすぎて予定より出発が遅くなる。 それでも7時前には歩き始め、40分くらいで取り付きに着く。 アプローチは、私たちはマラ岩に通じる道にすぐ入ってしまったが、実際はそちらには行かず、 右に折れて林道を50mくらい歩いてから左の林に入り、ガレ場を上がって行くほうが正規のルートらしい。 『落ちそうな白い岩』から右の踏み跡を辿ると、目印のテープがいくつか付けられた取り付きがすぐ分かる。 1ピッチ目(5.6) − KKリード。 林の中で苔むした岩溝を登る。すぐにピッチが切れる。 2ピッチ目(5.7) − KKリード。 出だしのクラックを登り、松の木から右上する。終了点でATCガイドを1ピッチ目の終了点に置き忘れたことに気づく。 (まだ寝ています・・・)しかたがないので、怪しげなハーフマストでビレイする。 3ピッチ目(5.7) − YYさんリード。 出だしの3mくらいのダブルクラックを登り、右に少し移動して、さらに5.5のクラックを登る。 4ピッチ目(5.8) − KKリード。 そのまま直上出来そうだが、右に走るバンドに導かれてトラバースする。 足場の良くなったところから2m弱くらいの登りがちょっと難しいが、右手のガバが取れればOK。登った上の木でピッチを切る。 5〜8ピッチ目(5.4または5.5) − この間はロープを1本にして登る。 簡単な岩登りとブッシュを進む。ここは1ピッチくらい割愛したかもしれない。 9ピッチ目(5.7) − KKリード。 手足のしっかりあるチムニーを登り、古い支点のある右のフェースを登ったが、左から回り込んだほうが楽だった。 縦リスに2本ハーケンが打ってある左側のバンドでピッチを切る。 10〜11ピッチ目(5.6) − 出だしのちょっと怖いトラバースは、本当に怖かった。 正座しながらずりずりと前へ進み、右手の岩壁と下に手がかりを求めながら、意を決して体を外に出し、左の岩に1歩を乗せるのだが、 足の短い私には遠かった・・・。 そのままリッジ沿いに進み、直角に曲がってさらに快適なリッジ上を歩く。幅50cmくらいで両側は切れているが、空中散歩のようで楽しい。 12ピッチ目(5.5) − リッジを辿って、左に大きく曲がり、ハイライトの1つのクラックの基部へ。 13ピッチ目(5.7) − KKリード。 写真で見たきれいなクラックを登る。しかし、実はクラックを登らずとも、左側からそのままリッジ上に登っていくことができる。 しかし、やはりこのクラックを登らないと皆に「左稜線登ってきた」とは言えないでしょう、という話になり皆登る気になる。 登ってみると、フットジャムもハンドジャムも良く決まる。 14〜15ピッチ目 − リッジ沿いに踏み跡を辿ってしばらく歩き、その後、20mの懸垂。 16ピッチ目(5.5) − リッジ上に出ると、左側の中央にリッジ沿いにクラックが走っているので、それを足場にしながら下るように進む。 その先ガレたチムニーを越えて次の懸垂の支点ポイントへ。 17〜18ピッチ目 − ビレイ点から3mくらい上を見上げると、懸垂の支点を発見。そこから右側に10m懸垂し、岩を乗り越した後、 ブッシュ帯を少し歩いて次の岩の基部へ。ここから右へエスケープルートがある。 19ピッチ目(5.7) − YYさんリード。 出だしのワイドクラックを登り、さらにその先のフェースを登ってチムニー基部に着く。 20ピッチ目(5.8) − KKリード。 最後のハイライト、チムニーを登る。荷物が干渉して登れそうにないので、空身で登らせてもらう。 中間にあるテラスまでは、手も足もあり、両壁へのつっぱりも利いて登っていける。3.5のキャメも大活躍。 ここからチムニーを出るまでが核心。 チムニー内の左のフェースを見上げると、ハーケンが打ってあるのが見えるが、そこまで辿りつくのに一苦労。 しばし悩み、出だしは左フェースに少し背を向けるかたちで右フェース奥の足場に足を置き、 それから足と体を両壁に突っ張りながら、ずりずりと体を上げる。 それから左フェースにあるカチを掴みつつ、体の向きを変えて楽な体制に持っていってハーケン目指してまたずりずりと体を上げていく。 やっとハーケンに手が届き、ロープを掛けて一安心。(すいません、疲れました。A0します。) A0しながら左のフェースになんとか体を出す。もうちょっと楽に登れればと反省しきり。 そこから2m弱スラブのフェースを登って、岩に支点を取る。 後続のYYさんは、私のザックも一緒に荷揚げしながら、完登。重いデカザックだったので、かなり邪魔だったはず。 MDさんも無事完登して、みんなで一息。思ったより全ルートを早く抜けられたのでちょっとびっくりした。 下降路の始まるコルに移動して、皆で休憩する。YYさんは梨を1個まるごと持ってきてくれていて、皆に切り分けてくれた。 みずみずしくて、甘くて美味しかった。 しばらくは、そこからの景色を堪能。色とりどりの紅葉がビロードのように広がり、谷間では光の加減できれいな陰影を作っている。 おなかいっぱいな気持ちになって、下降路を下り始める。 20ピッチもあるロングルートをこなした事がなかったので、果たして体力が持つか不安だった。 しかしルートの半分くらいは、簡単な岩登りや歩き、懸垂だったので心配したほど体力を消耗せずに登ることが出来た。 クラックあり、チムニーあり、快適なリッジ上の空中散歩ありと色々と変化があり、眺めも最高とあって十分楽しめるルートだった。 迅速かつ的確な指示でパーティーを導いてくれたYYさん、抜けてる私をフォローしてくれたMDさん、ありがとうございました。 (KK記) 7:45取付 11:05 13Pクラック下 13:40終了 紅葉に囲まれた小川山の岩峰を見下ろしながら、すっきりしたリッジを辿るとても楽しいルートでした。 切株にルート整備の苦労が感じられ、ルートを見出し再生された御二方に感謝です。 (YY記) |