8月2日(月)晴れ 熊の岩(4:20)〜池ノ谷乗越(5:05〜5:20)〜三ノ窓(5:50 〜6:25)〜取り付き(6:35) 〜1ピッチ目(6:50)〜T5(9:00〜9:30)〜終了点(11:0 5〜11:30)〜三ノ窓(12:15) 水も豊富で周囲もキレイな熊の岩で3時に起床。 朝食をとり撤収作業を行っていると、一番奥に張ってあるテントからガイドらしい2人パーティが通り過ぎて行く。 周囲は雪も豊富でテントを張ったすぐ上の雪渓から長次郎谷右俣(左の写真参照)を詰めて行くが全ての装備を背負った状態では息が上がる。 コル手前の細くなった上部で雪渓が少し切れ始めるが問題はなく、左右しながら上がって行くと池ノ谷乗越に着く。 少し休憩しアイゼンのまま池ノ谷ガリーを下るが結構ガラガラで悪い。 結構下るとやっとコルらしきものが右下に見えて来て、右側の踏みあとを行くとすぐに三ノ窓に出る。 ちょうど昨日チンネを登ったというパーティがのんびり撤収作業をしながら朝食をとっている。 とりあえず空いている日本海側にテントを張り、準備をして出発。天気は最高だ。 すぐ目の前から雪渓がありアイゼンを着けて歩いていくが切れている箇所もなく、状態(右の写真参照)は大変いい。 天気が良いので視界も利いて、心配していた取り付きまでのアプローチも問題なくクリア。 日陰のちょっとジメジメした広いテラスに雪渓から乗り移って先行パーティを待ちながら準備をする。 前には1パーティのみ。後続が来る気配もなく、すぐに自分達のスタートとなる。 1ピッチ目 まずはKTさんリードでツルベで登攀開始。ビレーも少し緊張する。前の凹角をまっすぐ上がって行く。 一段上がったテラスらしきところで切って、すぐに自分のスタート。 思っていたより難しい感じがしたが問題なし。 しかし、緊張かここまでの疲労か息は荒い。 2ピッチ目 リード。日が当たる草付きが多い白いフェースをまっすぐ上がって行く。 一段上がるとしっかりしたテラスと支点があるが、まだ20とのことでさらに上がる。 その上に支点はあまりなく、かなりランナウトするが、ハーケンを打つほどではないのでそのまま行く。 上がると広いテラスがあり、左側でピッチを切る。 3ピッチ目 KTさんリード。右上に階段状の岩を上がってすぐ10Mくらいで切る。 岩を回り込むのでロープの流れが悪くなるし、声も通りづらくなるので。 4ピッチ目 リード。前のピナクルを右側から巻いて上がって行き、すぐ左の階段状を上がる。 ピナクル裏の急なフェースをまっすぐ上がって抜けると周りが開けて、上の広いブッシュの稜線上で切る。 5ピッチ目(写真:右上) KTさんリード。前のハイマツ帯のリッジを歩いていくだけ。 先にはどーんとブッシュが多い白い岩が立っていて、先行パーティが上がって行くのが見える。 6ピッチ目 リード。所々もろいフェースをまっすぐ上がる。 上部では草付きの多い左側が安定している感じだが、先行パーティーがいるのでまっすぐ上がって切る。 7ピッチ目(写真:右) KTさんリード。草付きの多いフェースの続きを少し上がると、だんだんとリッジ状となってくる。 周りも一気に開けてきて、眼下に広がる空間もすばらしい。 左には八ツ峰上半、左前にはするどいクレオパトラニードル、左稜線上にもピナクルが立ちはじめる。 8ピッチ目 リード。一段下がってすぐ前のピナクルを右側から上がり、その先もアップダウンしながら結構上がると、広く安定したT5。 左側には八ツ峰上半を縦走しているパーティが見える。先行パーティの登りを見ながらゆっくり休憩。 9ピッチ目(写真:右) 核心ピッチ。KTさんリードでスタート。前のパーティがハングのすぐ上で短く切ったのでそこまで。 トップを見ていると結構難しい感じでA0で上がって行く。 自分のスタート。一段前の岩をよじ登って取り付く。すぐは右のカンテに沿って立ち込む。 その上が結構苦しく、カンテの反対側に足を置いてギリギリ上がって行く。 左のフェースに移ってハングの乗越となるが、ここは足元が少し不安で1本だけハーケンの頭を踏んでA0。 ハングは左手が上のガバにかかり、右手を大きく上げると少し上のこれもガバがとれ、あとは強引に上がる。 10ピッチ目 リード。前のフェースを詰めて行く。上に行くに従い段々凹角っぽくなり、傾斜も出てくるが快適。 11ピッチ目(写真:右) KTさんリード。クラック状となり、さらにさらに上がって行く。 右側を覗きこむと下までスッパリ切れ落ちてかなりの高度感。 三ノ窓に張った自分達のテントもポツンと小さく見える。上がった小さなピナクルを支点としてビレー。 12ピッチ目 リード。ここからは傾斜もぐんと落ちてピナクル群のアップダウンがはじまる。 進んでいくと段々リッジ状となり、最後は岩の右側をリッジに両手をかけながら進んで行き、ピッチを切る。 13ピッチ目(写真:右下) KTさんリード。リッジ状にピナクルがまだまだ続く。ここも快適にアップダウンしながら。 14ピッチ目 リード。前の細いリッジ状のピナクル群を越えて行くと先行パーティが休んでいる。 手前に少し茶色っぽい一番高い岩があり、ピークとのことで上に立つが天気も良く、大変気分がいい。 少し進んで広いスペースにあるリングボルト2つの支点で切る。後続も快適に来て、終了の固い握手。 心配していた下りも、すぐ下のコルに下って右側に少し進むと左右に懸垂支点がいくつかある。 左奥の懸垂支点が降りるラインもはっきり見えているので、ここからロープ2本で懸垂下降。 池ノ谷ガリーを再び下り、誰もいない三ノ窓に戻る。 テントをチンネ側に移動し、ゆっくりした時間を過ごす。 感想 初めての剱岳。ごく一部だが、”岩と雪の殿堂”を体感することが出来た。 雪渓の状態は良く、登攀中も終始晴天だったので、まずまずの時間で抜けることが出来たと思う。 今後も山に対する総合力のアップを目指していきたい。 KTさん、ありがとうございます。(MD) |