かねてより行きたかった明星山のフリースピリッツに2名(U島、他1・M井さん)で行ってきました。M井さんとは夏のチンネ左稜線以来ですが、直前に三ツ峠をご一緒したりとお相手して頂くことが多い。
これ以上遅くなると寒くて無理と思われる10月最後の土日、土曜の天気が芳しくなかったので土曜朝発で日曜登攀の計画です。
圏央→中央→長野道と乗り継ぎ、安曇野ICからは148号線をひた走る。林道入山線が落石で通行止めになっていたため、手前から迂回。
10時くらいに小滝川ヒスイ峡の駐車場に到着。クライマーの姿もなく我々のみで閑散としてました。
駐車場のトイレは使えるものの、土産物屋も閉まっており携帯も圏外。天気予報すら参照出来ないのですこし上の方にある「高浪の池」まで移動し車中泊することに。やることがないのでギアの準備などをしてキャンプ場を散策。
夜に結構な量の雨が降ってきて絶望。
翌朝、4時起きで腹ごしらえをしてとりあえず駐車場へ移動。行ってみてダメだったら温泉にでも入って帰りますか、と。
対岸にある展望台で観察していると1台の車が来た。同じくフリースピリッツ狙いでガイドパーティのよう。そちらの方もとりあえずいってみて駄目だったら左岸稜に行きますとのこと。取り付きへは売店横の踏み跡を下ります。濡れてると滑るので要注意。
踏み跡を下ると小滝川にぶつかる。右に河原をしばらく歩くとフィックスロープが張ってある岩があり、それを渡る。渡った所から右に10mほどでリングボルトが1本打った箇所があり、そこがフリースピリッツの取り付きです。
取り付き6:30、登攀開始7:00。つるべで登ります。特に決めたわけではないけども着いた順番にM井さんが奇数、私が偶数ピッチとなりました。
トポでは1Pがロープスケール60mとなっていて、今回50mロープだった我々は2Pに分けた。全体では13ピッチ、400mほどのルートです。
1P、草付混じりのバンドを左上する。岩は濡れているが心配になるほどではない。
石灰岩なのでびしょびしょだと無理だけどもそこまででは無かった。
2P、草付バンドから2m弱の垂壁を越えて一つ上のバンドへ上がり、左上。
3P、ウメボシ岩を目指しつつ左上にフレークがあるのでそれ伝いに右上。
4P、クラックを少し登り、三角形の岩の頂点から下りトラバース。その後、右上。
5P、ハング下のクラックをウメボシ岩の下まで左上。トポではウメボシ岩を超えてるが下で切る方いい。
6P、ウメボシ岩を左側から乗っ越し、右下へトラバース。ここはお助け紐が掴まないとさすがに怖すぎる。
7P、垂壁を直上し、カンテを越え、上にみえるハングまで。
8P、ハングの切れ目を超え、上のハングを目指す。階段状。右のスラブは別ルートなので注意。しばらく緩傾斜。
9P、垂壁の左側にあるクラックを登る。
10P、適当に登る。上部を見ると45度くらいの角度で右上している顕著なラインがあるのでその下を目指せばOK。
11P、45度くらいの傾斜路を右上し、ペツルのハンガーボルトが2本打ってあるところまで進む。手前のリングボルト2本は終了点ではない。
12P、上のバンドを目指し直上。あまり支点がないので早めに灌木で取る。
13P、バンドへ上がりトラバース。いわゆる「パノラマトラバース」。このルートのハイライトです。高度感はものすごいが支点、スタンスはあるので落ち着いて行けば問題ない。
14P、垂壁を直上。残置支点多い。途中にあるホールドが動くのでかなり怖い。垂壁が終わると緩傾斜帯になるので左側のスカイラインを目指してロープ一杯まで進む。実質の登攀は垂壁が終わった時点で終了。
下降は南山稜に出た後、50mダブルでロープ一杯まで懸垂。その後、右にトラバースしていくと踏跡とトラロープ、ピンクテープが出てくるのでそれ沿いに下る。導水管に出てきたらそれを辿ると小滝川まで降りられる。
フリースピリッツ全体を通して、ビレイ点含む支点はハーケン/リングボルトが80%、ペツルが10%、立木・灌木が10%くらい。トラバースが多いのでリードもセカンドも落ちることは許されないが各ピッチとも難易度はそれほど高くはなく、落ち着いて行けば問題はない。寧ろ、ルーファイをミスってリカバリ中に落ちたりする可能性があるのでそちらの方が重要だと思う。ホールド・スタントとも豊富ではあるが、動くものが多いので荷重するまえにテストは必須。
駐車場まで戻り、帰りは道の駅小谷で食事&深山の湯に入った。さすがの中央道も21時を超えると渋滞も解消されており快適なドライブでした。
文:U島